それから数日後、遥さん宅に突然、義母が訪ねてきました。偶然か否か、夫は出張中。突然の訪問に、遥さんは凍りつきました。
義母は、遥さんに分厚い封筒を手渡してきました。受け取り、中を見てみると、そこには1万円札が5枚。義母は、お金で口止めをしようとしたのです。
困惑した遥さんは封筒を突っぱね、「いりません。でも、理由だけ聞いていいですか……?」と義母に尋ねました。すると、義母は「何十年もあの人と暮らしてみ? 普通じゃおれんようになるから」と言い、夫から受けた仕打ちを語り始めました。
育児や家事に無関心だったこと、不倫を3回もされたこと、夫の母親の介護を押し付けられたことなど、義母が語る話はどれも胸に刺さるものばかり。
「そういう時、私はノートに愚痴を書くしかなかった。だから、あの人がボケた今、復讐しとるんよ」
あの古いノートは愚痴を書き貯めたものだったのか…。遥さんはそう気づくと同時に、義母の執念深さが怖くなりました。
「怒らせると、何をされるかわからない……と感じました。これからも誰にも言いません、と言うしかありませんでした」

数日後、遥さん夫妻は再び義母から夕食に呼ばれました。断りきれず訪問すると、義母は優しく出迎えてくれたそう。
しかし、食卓についた時、遥さんは義父の味噌汁に浮かぶ消しカスに気づきました。
「前回よりも入っている消しカスの量が多いように見えて……。よく、みんな気づかないなと不思議でした」
そんな遥さんをニコニコしながら見つめる、義母。その姿を見て、遥さんは夕食に呼ばれた理由を察したそうです。
「義母は、私が秘密を共有できる人間かどうかを試そうとしているんだと感じました。結局その日、私は義父が消しカス入りの味噌汁を飲むのを黙って見ていました」
義母は遥さんの行動に満足したのか、帰り際「またいつでもおいでね」と笑ったそう。できる限り、この家には来たくない。遥さんは心の底から、そう思ったと言います。
「ひとりで抱えるには、あまりにも大きい秘密。こうした形でも話せてよかったです」
義母との静かなバトルは、この先も続いていきます。良心を痛める遥さんはこの先、どうやって二面性のある義母と付き合っていくのでしょうか。
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<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291