――観ていて自分だったらどうするだろうと考えてしまうというか、倫理観を揺さぶるような役、そして物語でした。
染谷:そうですね。自分だったらどうするんだろうとお客さんに考えてもらうためには、まず漆原先生という人物がしっかり確立していないといけなかったんです。そこが曖昧だと、お客さんが作品から離れてしまうと思ったので、その責任感は強くありました。
――そしてまた、観る方によって受け止めや感想が違いそうですね。
染谷:そうですね。観る方の家庭環境や年代、置かれている状況によって、受け止め方がかなり変わる作品だと思います。
純粋に映画として面白いと思う方もいるでしょうし、まったく逆の感想を持つ方もいると思います。でも、それだけいろんな感想を引き出せる映画になっているんじゃないかなと思っています。
――ところで30代に入り、いい俳優になるために、仕事に向き合ううえで心がけていることはありますか?
染谷:やっぱり、仕事を楽しむことですかね。楽しんでできれば大丈夫かなという感覚が自分の中にはあるので、一つひとつ楽しみながらやろうと思っています。
――それは撮影がどんなに大変でもでしょうか?
染谷:そうですね。どんな現場でも、絶対に楽しめる部分はあるので、自分はそういうポイントを見つけるのが得意なタイプだと思います。現場ごとに空気も全然違いますし、毎回その環境を楽しみながら過ごしています。
――今回はどんな部分に楽しさを感じましたか?
染谷:共演者のみなさんが本当に素敵で、すごくリラックスさせてもらいましたし、スタッフのみなさんも本当に素晴らしかったです。それぞれが自分の仕事に集中している姿を見るだけでもかっこいいなと思いました。
「ここでこんなカメラワークをするんだ!」と驚くことも多くて、毎日楽しかったですね。難しい題材で、役としても大変だったからこそ、現場では反対に楽しくやれた気がします。