何度注意しても繰り返すボール遊びと、近隣からの苦情。普段穏やかな千穂さんも、さすがに怒りが込み上げ、少し強めに子どもたちを叱ったといいます。
「つい最近のことなんですけど、何度言ってもわからない隣の子に、強めに注意をしました。そしたらね、逆ギレされてしまって。『うちのパパはいいって言ってるけど』と言い返されたんです」
さらに、近隣からの苦情や、千穂さんが注意してボール遊びを止めないことを両隣のママたちに伝えると、返ってくるのは決まってこの言葉でした。
「本当に、私の言うことも聞かなくて……」
その言葉を聞くたびに言いようもない疲れが、千穂さんにのしかかっていったそうです。

「ちゃんと叱るほうが、なんだか損をしている気がするんです」
千穂さんは、ため息まじりにそう話します。
ルールを守るように伝え、人に迷惑をかけないよう自分の子どもに向き合ってきた千穂さん。しかし、いつの間にか、よその子への注意や近隣からの苦情まで引き受ける立場になってしまいました。
道路でのボール遊びは、車や住宅への物損だけでなく、交通事故につながる危険もあります。「うちの子は大丈夫」「親がいいと言っている」で済ませられる問題ではありません。
また、近隣住民や学校から注意されたときに、子ども任せにせず、保護者自身がルールを確認し、繰り返し伝えていくことも必要でしょう。
子どもが安心して遊べる場所が少ないという地域側の課題もあります。一方で、そのしわ寄せを、たまたま近くに住んでいる誰か一人に背負わせてしまっては、新たな近隣トラブルを生むだけです。
道路を遊び場にしていいのか。誰が子どもに注意し、誰が責任を持つのか。子どもの遊びをめぐる問題だからこそ、家庭ごとではなく、地域全体で考える必要があるのかもしれません。
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<取材・文/木村ひかる>