
しばらくして料理がテーブルに運ばれると、夫が大きな声で店員さんを呼びつけたんだそう。
「タブレットをタップすればいいのに、わざわざ大きな声で『ちょっと! こっち来てもらえます?』って。私も、一緒に座っていた友人夫婦もびっくりでした」
店員さんに、「これ、頼んだのと違うよね?」と言う夫。その言葉に、店員さんが恐縮しながら確認しにいって、戻ってくると、申し訳なさそうに『お客さまのご注文通りです』と教えてくれたんだそう。
しかし、夫は引かなかったといいます。
「もう、まったく譲らないんですよ。店員さんとタブレットを一緒に確認したら、注文を押していたのは夫でした。それなのに、『いや、俺は絶対これを頼んだはず』と言い張って。
挙げ句の果てには、『このタブレット、わかりにくいんだよ。気分悪くなったから、サービスでなんとかしてよ』って。もう、最悪でしたね」
結局、店長まで呼ぶ事態に。幸子さんはどうしていいかわからず、テーブルの下で手をぎゅっと握りしめていたそう。
「友人夫婦が『もう、大丈夫よ。私たちがいただくから!』って機転を利かせてくれて。その優しさに泣きそうになりました」

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居酒屋からの帰り道、夫は上機嫌で話します。
「夫は、『さっきのはないよな、俺、ああいうの黙ってられないんだよね』って、得意げに言うんですよ。
そして、いつものように私に、『どう? 俺しっかり者でしょ?』って私に褒めて欲しくて聞いてきましたね。あの時は、無理矢理『うん』と答えましたが……、もう夫と目を合わせられなくなっていました」
家に着いた夫は、いつものようにスーツを脱いで、ヨレヨレのTシャツに着替えたんだそう。
「首が伸び切っていて、毛玉がたくさんあるいつものTシャツです。着替えて、ソファに寝転がる夫の足の爪が黄色く、伸びているのが見えました。なんだか一気に気持ちが冷めていって……」
幸子さんが気になり始めたのは、夫の家での姿だけではなかったといいます。
「夜はシャワーを浴びない夫、それが原因なのか寝室のニオイも気になって。洗ったばかりの枕カバーも、すぐに黄色くなるし。
外での身だしなみは完璧、香水も基礎化粧品も整えているけど、家ではだらしないんですよね。
あの居酒屋での態度と、だらしない姿が、ふっと頭の中で重なって。ああ、外でも家でも、結局この人のベースはだらしないなって。夫が嫌いってわけではないですけどね」