するとその時。向かい側に立っていた20代前半くらいのギャルが、ふっと男子たちの方へ近づいていきました。

茶髪のロングヘアに派手めなトップス。一見すると少し近寄りがたい雰囲気だったそう。
「私は、もしかしてキレちゃうのかな? と思わず身構えたんですが……そのギャルは笑顔で『ねぇねぇ、その唐揚げめっちゃ美味しそうじゃん』と男子たちに話しかけたんですよ」
男子たちは突然話しかけられたことに驚きながらも、悪い気はしなかったようです。
ギャル「スーパーで買ったの?」
中学生「そうっす」
するとギャルは「だよね〜。でもさ、今この車両、その唐揚げの匂いで満員なんだけど気づいてる?」と笑いながら言ったそう。
男子たちは一瞬ポカンとした表情になりました。
「ですがギャルは笑顔のまま『電車ってさ、逃げ場ないじゃん? お腹空いてる人には飯テロだし、匂いが苦手な人もいるし。みんなちょっと困ってるかも』と独特の軽い口調で男の子たちに伝えていて」
その言い方は不思議なくらい柔らかく、説教っぽさがありませんでした。
責めるのではなく、「もしかしたら周りはこう感じているかも」と教えてあげるような話し方だったそう。
すると男子たちは周囲を見回し、そこで初めて、近くの乗客たちが微妙な表情をしていることに気づいたようでした。
「うわ、マジか……」そう呟くと、一人は慌てて唐揚げの容器のフタを閉じ、もう一人も食べるのをやめ、残りをビニール袋へ戻して持ち手をぎゅっと結んだそう。
「その光景を見たギャルが笑いながら『降りたあとゆっくり食べな〜。育ち盛りなんだからさ』と言うと男子たちは少し照れくさそうに『さーせん!』と頭を下げていましたね」