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『銀河の一票』56歳俳優・岩谷健司から目が離せない。怖そうなのに愛おしい…“存在感”が作品を引き締める

モジモジする“親戚のおじさん”を見ているよう

しかし、『銀河の一票』における岩谷は、これまでの出演作とは一線を画している。 後援会長を務める樫田敦史(岩松了)と“おじさんノリ”で盛り上がったり、自身の異名「テン・サウザンド」をいじられたりなど、人間味が滲み出るシーンが目立つ。普段の五十嵐との、さらには岩谷がこれまで演じてきた役とのギャップも相まって、なんだか「いつもムスッとしているけど、親族に過去の恥ずかしいエピソードをばらされてモジモジしている親戚のおじさん」を見ているようなほっこり感がある。 とはいえ、こうした「隙」の演出は諸刃の剣だ。そのキャラが持つ威厳を損ない、本作で言えば五十嵐が担ってきた作中の緊張感を弛緩させるリスクがある。さらには「お嬢、それは失礼」など、セリフの切れ味まで鈍らせかねない。

「切れ者」と「人情家」の両立

ただ、本作ではそうなっていない。その理由は、元市長・雲井蛍(シシド・カフカ)にある。蛍もまた、五十嵐同様に作中の緊張感を担う人物だ。蛍がいることで、五十嵐が多少の茶目っ気を見せても雰囲気が大きく崩れることはない。2人が互いにバランスを取り合い、コメディとシリアスの振り幅を絶妙にコントロールしている。 蛍がいるからこそ、「偉そうだが実は可愛げがある」という、ありがちな“ゆるキャラ”のようなキャラ像に堕することなく、「切れ者」と「人情家」という二つの側面を共存させることができている。
五十嵐には、岩谷がこれまで演じてきた役柄と重なる部分が多い。しかし、それでいてどこか似て非なる体温がある。この温もりこそが、五十嵐、ひいては岩谷健司という俳優にこれまで以上に、多くの視聴者が惹きつけられているのではないか。 『孤独のグルメ』シリーズの松重豊をはじめ、中高年男性を主人公にしたゆるいテンションのドラマは人気だ。『銀河の一票』では湯たんぽのような、程よい温かさを感じられる演技を披露したが、今後岩谷を主人公にした、ただただ動物と触れ合ったり、ただただご飯を食べたりなどするドラマが制作されることに期待したくなる。 <文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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