そして、もう一人忘れてはいけないのが織田裕二さん。『東京ラブストーリー』では、鈴木保奈美さん演じる赤名リカとの恋愛に揺れる永尾完治役で大ブレイク。1997年には『踊る大捜査線』(フジテレビ)で、刑事・青島俊作という新たな当たり役を手にしました。
それまでの刑事ドラマとは異なり、『踊る大捜査線』が描いたのは上層部の判断に振り回されながらも、現場の人間として自分の信念を貫こうとする青島。その不器用な熱さは、多くの視聴者の共感を呼びました。
そして2026年公開の最新作では織田さんは14年ぶりに同シリーズに主演し、青島が再び物語の中心に立っています。
注目したいのは、かつての青島をそのまま再現するのではなく、年月を経た現在の青島を描いていることです。また織田さんの自然に年齢を重ねたイケおじっぷりにはSNSでも「渋くて格好いい!」と若い世代からも好評の声が。

2026年、公開中の映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』公式サイト
織田さんは、2025年9月に「東京2025世界陸上」(TBS)でスペシャルアンバサダーとして復帰したことも話題になりました。メインキャスターの今田美桜さん、アイドルグループ「&TEAM」のKさんら若い世代とのコミュニケーションでも、「レジェンドなのに威圧感も老害ムーブもなく理想の上司」、「若手へのリスペクトや『あとは頼んだよ』みたいな雰囲気がお父さんみたい」と高評価。
若い世代と張り合ったり「俺たちの時代は~」と昔を回顧したりしない織田さんの姿勢は、一般社会においても参考にしたいものでしょう。
公開中の映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』でも、かつてはベテラン刑事・和久の背中を追っていた青島が、今度は自分自身がベテランと呼ばれる年齢になっています。若い頃と同じように走り続けるだけではなく、経験を積んだからこその立場や責任も背負う。そこに、長く続くシリーズならではの面白さがあります。
かつて人気ドラマを復活させる際には、若手キャストを中心に据えたり、主人公を交代させたりすることで、新しい世代へのアピールを図る作品もありました。
しかし、『救命病棟24時』や『踊る大捜査線』の最新作では、若手俳優を加えながらも、かつての中心人物たちが再びメインに据えられています。それは、昔の人気に頼るだけの懐古趣味とは少し違うように思います。

39年前、江口洋介と織田裕二がヤンキー役で共演した『湘南爆走族』。江口の初主演、織田のデビュー作
そもそも、90年代に彼らのドラマを夢中で見ていた視聴者も、今では40代、50代、あるいはそれ以上。今では仕事上の責任や部下との関係、家族の問題、体力の変化などに悩んでいるかもしれません。
そして今のテレビのメイン視聴者はこうした層とも言われています。だからこそ、かつてのヒーローやヒロインが年齢を重ね、それぞれの立場で奮闘する姿には、若い頃とは違った共感が生まれるのでしょう。
また、松嶋さんのように50代女性が仕事の第一線に立ち、悩みや葛藤を抱える主人公として描かれることにも意味があります。
女性の物語が、恋愛や結婚、出産で終わるわけではない。男性のヒーローも、若さや勢いだけで魅力が決まるわけではない。むしろ人生100年時代はそんな人生の第2章のほうが長く、40代、50代以降にどう生きていくかの提示を世間は求めている。そんなことをかつてのスターたちが体現しているようにも見えます。
若い頃の美しさや格好よさを再現することだけが、スターの価値ではありません。むしろ、年月を重ねたからこそ生まれる説得力や存在感もあります。
松嶋菜々子さん、江口洋介さん、織田裕二さん。彼らが50代になった今も主役でいられるのは、単に過去の人気が衰えていないからではなく、50代の人生そのものがドラマの主役として十分に面白い時代になったからかもしれません。
<文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中