――電車の中で事故にあった状況について教えてください。
ゆにこ:2016年の年末に仕事が終わってから、ギュウギュウ詰めの大混雑の電車に乗り込んだ直後のことです。加速し始めた瞬間に、急停車したんです。もう中は地震みたいにグワンってすごい揺れてました。私はちゃんと吊り革につかまって、体がくの字に曲がっても必死に耐えていたんです。
ところが私に100キロぐらいあるおじさんが飛んで倒れてきて、私の足が抜けないっていう状態になりました。しかもそのおじさん、手をついてもなかなか立ち上がれない。やっとおじさんがどいてくれて、私が「よっこらしょ」と立ち上がろうと思ったら、立てなかった。……こう話してると長いんですが、本当に一瞬の出来事でした。
急停車した理由は、後から聞いた刑事さんの話によると、酔っ払ったような人が電車に触れようとしたからだそうです。
――その時に痛みはありましたか?
ゆにこ:足をついたときに「アレ、なんか激痛が走るな」みたいな。それで「立てない、立てない」と言っている間に「発車します」とアナウンスがあったんです。そのとき「立てますか?」と声をかけてくれた一人の男性がとっさに「非常ボタンを押してください」と言ってくれました。発車せずに済んだのですが、近くの窓の外に駅員さんがやってきて面倒くさそうに「捻挫ですか? 次の駅で救急車手配してるんで」と言ってまさかの発車。次の駅で降りたら、そこでの駅員さんも棒立ち。肩を貸してくれた乗客の男性とカバンを持ってくれた女性2人だけが、そばについていてくれました。

当時、メモ帳にイラスト付きで書き留めていた事故直後の状況
――優しい人がいて良かったですね。
ゆにこ:本当に。今度自分がそんな場面に立ち会ったら、そんな行動ができる人になりたい、と思えるくらいでした。そのお3人、この漫画を読んだら「これ俺だよ」「私だよ」って名乗り出てくれないかなと思うぐらいです。
――倒れてきた男性は、その後どこかに行ってしまったんですか?
ゆにこ:その方も、自分は被害者と思ってるのかなあ。お腹がつっかえたのかなかなか立ち上がれない様子で、恥ずかしさもあったかもしれないし、向こうもまさか私がそんな大怪我になってるとは思わなかったかもしれません。
――救急車がすぐ来て、病院も決まったのに、搬送されるまで駅のグダグダで1時間半もかかってますよね。一人ぼっちにされて、その時はどんな気持ちでしたか?
ゆにこ:左足に添え木をしてもらって、車椅子でぼぉ〜っとしてましたね。4日後には沖縄旅行に行く予定だったので「どうやったら国際通りを松葉杖で歩けるだろうか」なんてのんきに考えてました(苦笑)。