ヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショーは、1995年にスタート。2000年代に入ると、単にランジェリーを発表する場から、ファッションと音楽を融合させた一大イベントへと成長。巨大なウィングをつけてランウェイを闊歩する専属のスーパーモデルたちは「エンジェル」として熱狂的な支持を集め、ショーは世界中の女性たちにとって憧れの象徴となった。
しかし、その華やかな世界は、やがて厳しい批判に直面するように。細く引き締まった身体を理想とするような演出、多様性への配慮を欠いたブランドの姿勢を疑問視する風潮が強まっていった。
多様な体型や年齢、ジェンダーへの理解が広がるなか、限られた美の基準を繰り返すVSショーに対して「時代遅れ」「誰のための美しさなのか」と風当たりが強まった。さらにVS内でのセクハラ・パワハラ問題も重なり、ショーは2019年に中止された。
その後、女性の多様な体型や生き方を尊重する方向へと転換を進め、2024年に復活。かつての華やかさを取り戻しながら、より多様なモデルを起用する新しい姿勢を打ち出している。

プラスサイズモデルのプレシャス・リーなど多様なモデルが出演している現在のVSショー
※画像はプレシャス・リーの公式インスタグラムより
今回、ファンタジーブラを着用したのは、完璧なプロポーションをしたトップモデルではなく、色々な分野で活躍するカイリーだった。それも、多様性を示す狙いがあったという見方もできるだろう。
さまざまな体型や生き方が自然に存在できること。“出産”という人生の選択をした女性が、休みたいときに安心して休め、戻りたいときに無理なく復帰できること。
自分の身体と人生を自分の意思で選べる自由こそ多様性であり、いま求められている価値観なのではないだろうか。VSショーがこれからも愛されるためには、かつての華やかさを取り戻し、懐かしい演出を再現するだけでなく、女性たちが“自分の選択を尊重される世界”を描くことなのかもしれない。
<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>