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「お金や名声はいらない」元TBSアナ伊東楓33歳が語る、画家転身で見つけた“本当の夢”

「人生のちょっとした方位磁針みたいな人になれたら」

伊東楓さん――なるほど、見本みたいな感じになりたいと。 伊東:たとえばわたしの絵を観た方が作者を調べて、「この人にはこんな暗黒期があったのか」と、思う人がいるかもしれないじゃないですか。それで「自分も似たような境遇だけれど、もしかしたらいつかこの先に希望があるかもしれないから耐え忍ぼう」という、人生のちょっとした方位磁針みたいな人になれたらと思っているんです。 ――後進のことを考えているということは、ある程度現状には満足をしてるのでしょうか? 伊東:満足しているわけではないですけど、次の世代がわたしのような生き方をしたいと思ってくれるような生き方をしたいという、自分の中でそういう確固たるポリシーがあるので、今自分が立っていられるということはありますね。そうなると、そうそう甘んじたり、この辺で手を打つかという妥協もできない。だから満足はしていないと思います。 ――有名になりたいわけじゃないけれど、現状にも満足はしていないという。 伊東:そうですね。簡単に超えられる壁にもなりたくないということです。 ――日本には戻らないのでしょうか? 伊東:わたしが画家を目指した当初の夢が、渡り鳥のように生きていくということだったんです。固執したり所有欲もあまりない、それよりも自由に自分が拠点を置きたいと思った場所に住み、そのための経済力を持てることが目標でした。いろんな国でマンスリーマンションを借りたりして拠点を持てて、エコノミーでどこへでも飛べるような、最低限のお金があればいい。それを去年くらいからできるようになってきたから、ひとつの場所に留まるイメージがないんです。

後輩アナには「大変だよ」。独立したらすぐにサバイバル

伊東楓さん――後輩のアナウンサーさんから、独立の相談を受けたりすることはありますか? 伊東:いつも「大変だよ」って言ってます(笑)。夢ばっかりじゃないですし、サラリーマンの時のほうがお給料がいいパターンも全然あると思いますし。いいことばかりじゃないけれど、みんな外に出たことがないから、その先はわかってもらえないですよね。隣の芝生は青いじゃないけれど、すごく広がっていると思ってしまうんです。でも外に出た瞬間に自分を守ってくれるものがなくなるから、すぐにサバイバルになるよと。 ――2021年にTBSを退社されて、今日のここまでを振り返ってみて、なりたい自分になれましたか? 伊東:どうだろう(笑)。まだ足りないと思っています。ずっとスタート地点にいる感じというか。まだ何もなし得ていない感じがします。次の世代にバトンをつなぎたいけれど、それができるまで大きくなってもいない。安心する何かがあるわけでもないから、まだスタート地点って感じです。 <取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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