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女装家と結婚したらこうなった。ブラの貸し借りもできます【ダーリンは女装家 vol.1】

 私の旦那さんは女装家です。結婚前から女装家でした。女装家と知って結婚しました。

 結婚した理由? おもしろそうだったから。トイレも一緒、ランジェリーショップも一緒、映画館のレディースデーも一緒。

旦那さんの靴

旦那さんの靴

 経済とか将来とか考えずに結婚しました。そもそも私は結婚する時に男性が言う、

「絶対に彼女を幸せにします!」

 が大嫌い。初っ端から嘘をついていると思っちゃう。男性が嘘をつく気はなくてもね。

 幸せは、人からいただくものじゃない。自らが進んでなるものだもん。私の場合、幸せな結婚=おもしろい暮らし。お金が豊かなのも勿論大事だけど、心が豊かになる方がいい。見事に叶えてくれたのが旦那さんだったわけ。

女装家の「胸のよせあげ」技術はすごい



 女装家といっても、それを生業にしているわけではなく、仕事はいたって普通。月曜日から土曜日までれっきとした男性として勤務しています。結婚の決め手となったのは、実はここにもあるのです。

「女装している私がすべて。男性の部分はいっさい排除」

 というタイプで、いわゆる舞台裏(メイク前とか、ムダ毛処理前とか)を見るのはタブーだったら、結婚しなかったです。

 旦那さんは、男性としての自分も尊重しているタイプ。オンもオフも、私にだけじゃなく友人知人にもさらけ出してます。いろんな女装家がいるけれど、結婚するなら素の自分も愛している人がいい。性同一障害や精神的なトラウマなど、女装家といっても理由も様々でデリケートな問題でもあるから、一概には言えない。でも私は、男性の部分、女装家の部分、表裏一体でその人を愛したかったのです。

 そんなわけで、旦那さんは舞台裏も私に見せてくれるし、女性側の舞台裏も理解してくれます。

 女性の象徴と言えば胸、ブラ。私は正しいブラの着け方を旦那さんにおしえてもらいました。旦那さんは肉体改造を行っていないので、ブラを着ける時は「よせあげ」をします。そんなの女性だってするじゃん。ええ、私もしてましたよ。でも、もともと「ない」前提の男性がするよせあげの技術と言ったら。

「そんな着け方じゃ、形が崩れるし胸が垂れ下がっちゃうよ」

 と何度もお叱りを受けた私。あげく結婚してからは私のブラはすべて旦那さんが選んでくれるようになりました。

我が家の洗濯物は女性ものの下着だけ



 ちなみに旦那さんと私の胸は同じサイズ。しつこく言うけれど、旦那さんは肉体改造いっさいしていません。旦那さんの名誉のために付け加えますが、デブでもないし、むしろ瘠せ形です。いかに巧みにブラを装着するかわかっていただきたいです。

 あ、私がAカップとか言うんじゃないですよ。私はDカップです。ふふふ。

 一事が万事、こんな調子。一緒にランジェリーショップに行き、旦那さんが、

「これいいんじゃない。セクシーだよ」

 と選んでくれたブラやショーツ、

「そう? じゃ、試着してみようかな」

 なんて、うきうきしてると、

「いや、私が着けたくって~」

 なんだよ、私用じゃないのかよ。ちょっと腹が立ちつつも「買ってきて?」ってお願いされると可愛いなと思っちゃう。ショップに一緒に入れても会計は無理だもんね。はいはい、女の私、便利に使ってくれてオッケーよ。その代わりに私にも時々貸してね。

ダーリンは女装家(1) 下着の貸し借りだってへっちゃら。我が家の洗濯物には女性ものの下着しかありません。旦那さんは男性用下着も持っているけれど、たまにしか装着しません。

 この話はまた別の機会に。

<TEXT/森美樹 イラスト/尾山奈央>

【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓
https://twitter.com/morimikixxx

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