なぜステキ女子の肩掛けカーディガンは決してずり落ちないのか?――トミヤマユキコの「40歳までにオシャレになりたい!Neo」
圏内ファッションの店に行くたび、ショップスタッフに言われるがまま、似合ってるかどうかも分からない服を買い、着回すこともできぬままタンスに死蔵するのは、もうやめだ!……そう思って半年間コラムを書いた直後にやってきたのが、セールのシーズンだった。
セールは、ふだん買わない服を買ってみるにはちょうどよい機会だ。とくにセールがはじまった直後のデパートなんて、誰もわたしのことなんざ見ていないので、試着もし放題だし、かりに接客されたとしても「やっぱやめます」宣言をしやすい。
「これ以上ここにいたら、なんか買わされる、というか買わないと気まずい」という恐怖心がちょっと薄れるのが、セールのいいところ。
そんなわけでわたしもまた、意気揚々とデパートに向かったのである。大学に着ていけるような、シックな服の一枚でも買ってやろうじゃないかと、婦人服フロアに降り立った。
だが、気がつくとわたしの目は、いままで通り圏外ファッションばかりを追っているのである。
「服が安く買える! 失敗しても痛手は少ない!」というテンションの高まりとともに、アドレナリンがどばどば出た結果、わたしは「圏外ファッションはどこだ……もっと……もっと変な服はないのか……」とつぶやきながらフロアを徘徊するハメになってしまった(妖怪)。こうなるともう完全にダメ。圏内ファッションが全然目に入ってこない。というか、目の前にあっても、目が滑っちゃって、情報として頭に入ってこない。
そしてわたしは、誰が見ても変わってると思うであろうワンピースを買いました。
120 %かわいいし、買って良かったと思っている。が、どこにもコンサバ感がない。
いつも通っているクリーニング店のご夫婦にも「わ~これおもしろいね~! 変なところに布がついてるね~!」と言われたし、まあ世間的には圏外ファッションなんだろう(そこがいいんだけどね)。
⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=569857
なんのために半年間も圏内ファッションについての連載をやってきたのか。いままでの苦労が水の泡とはこのことである。
思えば、わたしが敬愛する安野モヨコ先生の大傑作『ハッピー・マニア』でも、「コンサバの服って買う気しなくて/大体おもしろみにかけるんだよ」と言った主人公・シゲカヨに対して、親友のフクちゃんが「おもしろくなくていいんだ服は!!」と説教していた。
ホントにその通りでぐうの音も出ねえ……でもおもしろい服って選ぶのも着るのも楽しいんだよな~。
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『40歳までにオシャレになりたい! 』 全おしゃれ迷子必読! グレーのパーカーばかり着てADに間違われていた著者が 大人のオシャレを身につけるまでを綴ったおもしろ&実用エッセイ! ![]() |