●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」19 by小林直子●
おしゃれな人は「抜け感」があったり、外すのがうまいと言われます。でも、具体的にどういったテクニックがあるのかわかりません。どうしたらいいでしょうか?
回答:小林直子(ファッション・ブロガー)
ファッション雑誌にはよく「抜け感」とか、「着崩し」とか「外し(はずし)」という言葉が出てきます。けれども、どこにもちゃんとした定義が書いてないのですよね。また、人によっても使い方が微妙に違いますので、はっきりこれということを言うことはできません。みんな、なんとなく使っていて、なんとなく通りすぎていっています。

ワンピースなら「完璧にフェミニン」にならないよう、スニーカーやゴツい靴、メガネなどを合わせるのは定石 画像:WEARより
ただ、大体言いたいことは同じなんです。「抜け感」も「着崩し」も「外し」も、「完璧にしない」という意味なのです。逆に言ったら、まず完璧があるということです。
完璧というのは、例えばコレクションで発表されたら、その発表されたままのスタイルです。もっと身近なわかりやすい例で言うと、
ショップの販売員さんみたいなスタイルです。そこのブランドものだけを、デザイナーの意図どおりに、きっちり着て、どこから見ても、そこのブランドの販売員だよねって、わかるスタイルです。
販売する人はそれでいいんですけれども、逆にそれじゃなきゃ困るんですけれども、そこの会社の販売員や社員じゃない人は、それだと格好悪いと思われるのです。なぜかというと、借りものみたいだとか、こなれていないとか、服に着られているだとか、そんなふうに思われて、それは格好よくないことになっています。

カットオフデニム(裾が切りっぱなし)で足首を見せるのも定石 画像:WEARより
「抜け感」は、その格好よくないスタイルから抜け出す方法の1つです。きっちり着ていたものを、「抜け」をつくることによって崩します。「抜け」とは、だいたい、肌をちょっと見せることです。
袖をまくったり、シャツのボタンを一つ外したり、パンツの裾を折ったり、そんなことです。