●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」21 by小林直子●
毎月ファッション雑誌を買って読んでいるのですが、一向にあか抜けません。おしゃれになった気がしないのです。読み方にコツがあるのでしょうか?
A.ファッション誌はおしゃれの教科書ではなく、買い物ガイドです
回答:小林直子(ファッション・ブロガー)
ファッション誌がこんなにも多く出版されるようになったのはいつのころでしょうか。すべてを把握するのは困難なほどに、非常にたくさんの、バラエティに富んだ女性向けのファッション誌が出版されています。
モード系や、お仕事系、プチプラ系、素敵なママ系など、すべての女性のライフスタイルにマッチしたようなスタイルの雑誌がたくさん売られていて、選ぼうと思えば、自分にぴったりのファッション誌が選べて買えるというのが現在の特徴でしょう。

そしてこれを読んでいる皆さんのなかにも、今までたくさんのファッション雑誌を買ってきた、読んできた方が多くいらっしゃることだろうと思います。
すべての女性の年代、ライフスタイルに合ったファッション誌が売られていて、私たちもたくさん買って、読んでいて、その結果、私たちはおしゃれになったかと言われれば、どうやらそうではないようです。ではその原因はどうしてでしょう? どうして私たちはこんなにもファッション誌を読み続けているのに、一向におしゃれにならないのでしょうか。
ここで、そもそも、という話に入ります。そもそも、ファッション誌は読者がおしゃれになるためにつくられているものなのでしょうか? 読み続けてきた結果、読者の皆さんがおしゃれになるようにという願いを込めてつくられているのでしょうか?
今、私も家にあるライフスタイル提案型の女性向けファッション誌を数冊見てみましたが、どこにもそんなことは書いてありません。書いてあるのは「次に買うもの」または「一番に買う」「名品ベスト10」などなど。ざっと見るとこんな感じです。大体というか、ほとんどがお買い物案内です。
皆さんも持っている雑誌を見てみてください。そのほとんどが、それは本だろうが、キッチン用品についてだろうが、旅行だろうが、映画だろうが、次にお金をどう使ったらいいかということの提案ではないでしょうか?
もちろんそうではないページもあります。ファッションページの合間に誰かのエッセイや連載があったり、お料理のレシピも載っています。けれども、残りのほとんどは値段のついたお買い物の提案ページです。

では、お洋服のページを見てみましょう。大体、モデルさんが何かを着て、脇にアイテムの説明、ブランド名と値段が記載されていますね。これは、こういうスタイルが今一番お勧めするスタイルです、ついてはここで買うとこのようになりますよ、というご案内です。写真、説明、値段。もしかしてそのほかにはそれによって得られる効果(例えば、女子力アップとか、気分が上がるとか、着やせとか)が書かれているかもしれませんが、それ以外についてはほとんど書かれていないでしょう。