Beauty

ファッション誌を読んでも、おしゃれになれないワケ

 ファッション誌のお洋服のページにある「写真、説明、値段」というのは、いわばレストランの写真つきメニューみたいなもの。おいしそうなスイーツの写真があって、その説明があって、値段がある。これを注文すれば、あなたはこのおいしさを経験できますよと教えてくれています。ファッション雑誌はこれと同じです。  つまり、このブランドで、そのお金を出して、このひとそろえを買うならば、同じスタイルができますよ、なりたかったら買ってはいかが?という提案をしているのです。 コーディネート 例えば三ツ星がついたレストランに行くとしますね。写真はないかもしれないけれども、値段と説明とお料理の名前が書いてあるメニューを見ます。そしてもしかしてメニューマニアがいたとして、いろいろなところのメニューを集め、日がな一日、これを食べたらおいしいだろうな、いいなと眺めているとします。そうしたところで、このメニューマニアは、この眺めていたお料理を実際に自分でつくれるようになれるでしょうか?  料理名、値段、説明、場合によっては材料が記載されているだけで、それをおいしくつくれるようになりますか? 普通の人はできません。メニューだけ見て再現できる特殊な才能の持ち主でもない限り、同じことを再現するのは不可能です。不可能だから、私たちは三ツ星がついたレストランへ行って、おいしくお料理をいただくのです。

「同じものを買ってね」というメッセージ

 ファッション誌もそれと同じです。私たちは、アイテム名、ブランド名、値段と、その組み合わせの結果、つまりコーディネート写真を見たところで、特殊な能力を持っていない限り、同じようには再現できません。唯一再現できるのは、そのブランドで、同じものを同じように買ったときのみです。 ファッション誌を読む女性たち つくっているもの、発信された情報には必ず意図があります。ファッション誌をつくっている人たちの意図は「私たちが紹介したもの、できれば広告があるものを、みんな、買ってね」です。そして、読者の皆さんがそれらを本当に買ったならば、彼らの意図は成功したのです。  おしゃれにならなかったのは、つくる側がそれをもっとも重要な制作意図にはしていないからです。彼らはそもそも読者がおしゃれになる能力を身につけることを意図していないし、そんなことができるとはどこにも書いていないのだから、こちらが責めるわけにもいきません。私たちが勝手にファッション雑誌を読めばおしゃれになれるものと勘違いしていたのです。  これから何かを買うときは、制作者の意図をくみ取りましょう。そうしたら、無駄な時間とお金は使わなくて済むようになります。ファッション誌はお買い物の提案であるとわかってしまったら、怒る気もしないというものです。 <TEXT/小林直子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【小林直子】 ファッション・ブロガー。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、文化服装学院卒。東京コレクション参加ブランドのパターンナー、大手アパレル会社の企画室を経て独立。現在、湘南エリアを中心に独自に開発したメソッドによるファッション・レッスン、各種ワークショップを開催するなど活動中。ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール
小林直子
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。
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