●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」23　by小林直子● 　無地のものに飽きてきたので柄を入れたいのですが、今、ボーダーと花柄だったら、どちらがおしゃれに見えますか？ 　この一見単純な短い質問には、複数のテーマが含まれていて、それを1つずつ解明していかないと、答えを導くことができません。というわけで、1つずつひもといてまいりましょう。 　まず、ボーダーと花柄という二項対立についてです。 　ボーダーと花柄、はっきり言って、これは比べられるものではありません。ボーダーのほうが花柄より偉いとか、そういうこともありません。ついでに言うと、ボーダーで花柄というものもあります。 　また柄という意味では一緒です。 　さて、この比べようのないものを比べようというこの問いですが、「ではおしゃれとは何か」ということです。おしゃれとは、端的に言えば、他人（または自分）が魅力を感じるということです。この質問は、「他人から見て、ボーダーと花柄、どちらがより魅力を感じるのか」ということになります。 　では、この質問を逆の面から考えてみましょう。他人から見て、「ボーダーと花柄、どちらに魅力が感じられないか」。魅力を感じなくなる心理は、何によってもたらされるか考えればいいわけです。 　まず、魅力を感じないのは、全体のコーディネートが色音痴のときです。多くの花柄は多色使いですが、例えばキャス・キッドソンのような花柄に、ラスタカラーの違う柄を合わせたりするのは、絶対にできないとは言えませんが、とても難しいものです。そういった、合わない色同士のものを持ってくると、人は魅力を感じなくなります。ということで、まずは色の問題。