「心から愛せる人が一人いれば怖くない」NYで成功した女性・アケミさんに聞く
マイケル・ジャクソンとの出会い
ドアの前には警備員がいます。人が一人通れるだけの小さなドアを抜けると、コンシェルジュの奥に居住者用のエレベーターが4基あって各々にエレベーターボーイがいる。深夜で混む時間帯でもないのに行列が出来ていたのですが、親しかったボーイが「アケミ、Come Come!」と声を掛けて来た。
いそいで一番奥のエレベーターに飛び乗ると背後に人影を感じたのです。たった一人の人しか乗せていなくて、他の人達は外で並んでいる。どうして…?
金色のエレベーター内で、鏡のように磨かれたドアに反射して背後の人物がおぼろげに見えました。マイケル・ジャクソンでした。のちに聞くと、リサ・プレスリーと別居中のマイケルは身を隠すようにトランプタワーに引っ越してきたと言います。ボロボロのワゴン車はパパラッチを欺くため、あえて古い車を選んだのでしょうか。
エレベーターが上昇中、マイケルは終始無言、私も後ろを振り向きませんでした。60階で私が先に降りると、私とボーイの会話に聞き耳を立てていたマイケルが、ボーイにこんな事を聞いたそうです。
「彼女は何をしている人?」
「日本人のファッションデザイナーです」
「彼女のデザインした洋服が一度見てみたい」
ボーイからリクエストされプレス資料を手渡すと「シャツを作って欲しい」と言われて、それから2年間、マイケルがプライベートで着る洋服を手掛けるようになったのです。
ロイが「トランプタワーに住みたい」と言わなければ、マイケルとの出会いはなかったでしょう。
誰か一人でも応援してくれる人がいれば…
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