
『サーミの血』より
『サーミの血』はサーミ人として「移牧学校」に送られたエレ・マリャ(レーネ=セシリア・スパルロク)が学校を飛び出し、スウェーデン人として生きていこう決意する物語。
監督はサーミの父とスウェーデン人の母をもつアマンダ・シェーネル。主演女優のレーネも普段はトナカイを放牧する生粋のサーミです。この作品におけるサーミ人の役は、老いたエレ役以外、すべて素人が演じているんです。

『サーミの血』より
サーミ人による作品ながらも、サーミ人差別やサーミ文化を焦点にしたストーリーではなく、ひとりの少女、エレが自分のアイデンティティや人生を模索する様子が情感たっぷりに描かれている点が本作の見所。

『サーミの血』より
私たちの誰もが、家族、社会、会社、友人など、なにかに呪縛されていると感じるときがありますよね。そんな呪縛から自分を解き放とうと懸命に生きるエレの勇気に、私たちはついつい自分を重ねてしまう――そんな感動作。人生が息苦しく身動きできないと悩む人にオススメの映画です!
【参考】
『サーミの血』映画パンフレット―「サーミの暮らしと歴史」長谷川紀子
(C) 2016 NORDISK FILM PRODUCTION
<TEXT/此花さくや>
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ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):
@sakuya_kono