続いて紹介するのは昨年の春、東京・曳舟にオープンした「帆帆魯肉飯」。曜日によってコーヒー店だったりバーだったりと内容が変化するはやりの“シェアカフェ”で、同店は日曜限定で営業する魯肉飯の専門店だ。店主の唐澤千帆さんが6年前に台湾で食べた魯肉飯のおいしさに衝撃を受け、その味を自分で再現したいと思ったのがコトの始まり。中国語を学んで現地の料理本を解読したり、台湾人の友達のお母さんから家庭の味を教えてもらい、現在のレシピに辿り着いたのだそう。

【帆帆魯肉飯の魯肉飯セット】豚バラ肉の他に細かく刻んだ豚皮も入るので食感が楽しく、味に深みがある。この日のスープは「四神湯」。ハトムギ、蓮の実などが入った優しい味わいだ。850円(税込み)
「目指しているのは最初に現地で食べた魯肉飯の味ですが、もっとこうしたほうがいいなと試行錯誤を重ね、自分なりに改良を加えています。本当に台湾が大好きで、今でも多い時には年に5回、食材の仕入れも兼ねて台湾に行き、いろんな店で魯肉飯を食べます」

本場の味に近づけようと、台湾の電気釜「大同電鍋」を使用。台湾愛に溢れる唐澤さん
そんな台湾愛が全身からほとばしる唐澤さんの魯肉飯は、程よく八角が香る屋台の味。細かく角切りにした豚肉とご飯を一緒に噛みしめると、肉の旨味が溢れ出し、甘辛い風味があとを引く。弾力ある歯ごたえを感じたら、それは豚皮。スープをとった豚の皮を細かく刻んで、肉と一緒に煮込んでいるのだ。肉の隣に添えられているのは、やや塩味を効かせた煮卵とビビッドな黄色の沢庵漬け、日替わりの台湾家庭料理風副菜。そして、さらにセットで週替わりのスープが付く。取材時のスープ・四神湯は生薬入りで、徹底的に現地の味を再現している。

帆帆魯肉飯(ファンファンルーローハン)毎月の営業日や最新情報はフェイスブックで確認。www.facebook.com/fanfanluroufan/
牛丼をはじめとする“肉のせ丼”はガッツリ飯の王道だが、たまには魯肉飯をチョイスして、台湾旅行気分に浸ってみては?
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S級グルメ―
<取材・文/吉田 桂 撮影/土居麻紀子>