胃が重い…これって病気?日本初の「胃弱外来」で改善策を聞いてみた
なんとなく胃が重たい、イマイチ食欲が湧かない、脂っぽい食事をしたわけではないのに胸やけがする……そんな胃の症状を感じることはありませんか?
慢性的に胃の不快感があると、集中力が散漫になったり、食事を楽しめなかったりと、日常にも支障が出てしまいます。なかには胃がんや胃潰瘍などが潜んでいることも。
そこで、日本初の「胃弱外来」を開設した巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長の神谷雄介先生に、胃弱の注意点や改善ポイントを伺いました。
――胃の不快感に悩まされている30~40代女性が多いと聞きます。胃弱になりやすい原因は何ですか?
神谷雄介先生(以下、神谷)「30~40代は胃がんや胃潰瘍といったリスクがそれほど高くないご年齢なので、やはり多いのは、ストレス由来で胃の機能がおかしくなるパターンです。仕事で責任ある立場になったり、子育て真っただ中だったりする年代ですので、仕事や子育て、人間関係などによるストレスで、機能性の異常を起こしているかたは多いですね」
――多少の不調なら放っておいて大丈夫でしょうか? 大きな病気に繋がることはありますか?
神谷「『機能性の異常(機能性ディスペプシア※1)』と診断がついているかたであれば、そこからがんや潰瘍になるというリスクはほとんどありません。ただ、胃の不快感が器質的な病気なのか機能性の異常(機能性ディスペプシア等の病気)なのかは自己診断ではわからないので、ただの胃の不調だと思っていたら胃がんが潜んでいたとか、上腹部が痛いと思っていたら実は膵臓だったなんてこともありえます。そのため、少しでも胃に違和感があるようなら検査を検討された方がいいと思います」
(※1・・・機能性ディスペプシアとは、胃もたれやみぞおちの痛みなど、胃の不快な症状が続いてるにもかかわらず、内視鏡で見ても特に異常が見らない病気です。症状が6ヶ月以上前からあり、3ヶ月以上症状持続している場合に当てはまります。主要な症状としては、「食後の胃もたれ感」「早期満腹感」「みぞおちの痛み」「みぞおちの焼ける感じ」の4つがあります。)
――受診の目安はありますか?
神谷「症状が2週間ほど続いている、一度良くなっても似た症状を繰り返している、市販薬でも改善しないといった場合ですね。また、痛みを伴うときや食欲が出ないときは、潰瘍が隠れていたり、病気由来で食欲が落ちていたりする可能性もあるので、少しでも続いているようなら早めに受診したほうがいいでしょう」
――検査というのはどのようなことをするのでしょうか?
神谷「胃弱の原因が胃がんや胃潰瘍などの深刻な病気が潜んでいないかを判別することが大切なので、まずは症状を伺います。その様子で、ピロリ菌のチェックをしたり、胃カメラやエコーで胃の状態をみたりと、必要に応じて検査を組んでいきます」
――胃弱に特に気を付けたほうがいい季節などはありますか?
神谷「胃弱になりやすい4月から6月の時期です。4、5月は、環境が変わりやすく、仕事上でも、子育てやプライベートでもさまざまなストレスを感じやすい時期なので、ストレス由来で胃の症状を崩される方が多いです。また、6月はジメジメした気候や食べ物が傷みやすくなることから胃腸炎を起こし、それが胃や腸へのストレスとなって、胃弱になる人もいます」
――胃弱にならないために、日々できる対策などがあれば教えてください。
神谷「睡眠不足や高脂肪食は機能的な異常を惹起しやすいと言われていますので、十分な睡眠をとることと、食生活が乱れないように気をつけることです。とくに胃弱の症状があるときは、ヘビーな食事を避けた方がいいかなと思います。あとは、胃の粘膜を保護する作用があるキャベツや、消化吸収しやすい形態であり、また乳酸菌による胃の粘膜保護作用が期待できるヨーグルトは、食欲のないときや暴飲暴食後の胃痛時などに有効です。また、冷えと胃弱症状は関係すると言われているので、冷やさないようにすることも大切です」
そこで今回は、神谷先生におすすめする胃弱対策アイテムを教えてもらいました。
神谷「ヨーグルトの中でも、胃酸に強く、酸性条件下でも増殖性に優れたLG21乳酸菌入りのヨーグルトは、ピロリ菌抑制効果がある上、胃の中の微細な細菌叢を正常な状態に戻す働きがあると言われています。実際に胃の不調が続く人がLG21乳酸菌入りヨーグルトを摂り続けたところ、症状が改善したという報告もあります。こういったヨーグルトを1日2回2~8週ほど摂り続けると、胃の中の環境改善が期待できます」
神谷「お腹の冷えが強い方は温める漢方を使ったり、冷えないように腹巻を使ってもらったりして対策することもあるくらい、お腹を温めるのは胃弱の対策として有効です。冷えやすい人は季節を問わずお腹が冷たくなっているので、冷やさないための工夫は一年を通しておこなってほしいと思います」
最近はいろいろな下着メーカーから、かわいいハラマキが発売されています。たとえば、ワコールの「綿95% ハラマキ」なら、汗の吸収もよさそうですし、気軽に洗濯できるので夏におすすめ。おそろいのブラジャーと合わせれば、オシャレな部屋着にもなっちゃいます。
神谷「脂肪食や脂分は胃の機能性との関連があると言われているので、極端に控える必要はありませんが、食後にもたれを感じるような内容の食事は控えたほうがいいでしょう。調味料や油の使用量を調整できるスプレーポンプなどを利用して、日ごろから脂分を摂り過ぎない意識をしておくのもいいかもしれません」
100均からタニタまで、調味料スプレーポンプがいろいろ出ているので使ってみてください。
<取材・文/千葉こころ>
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今スグ始めたい! 日常的な胃弱対策

1.LG21乳酸菌入りのヨーグルトを摂る
2. 腹巻などお腹を冷やさない工夫
3.調味料や油を摂りすぎないポンプ式容器に
千葉こころ
自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中