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なぜ今『おしん』がブーム?若者にウケた“いい意味での裏切り”3つ

 NHKBSプレミアムで月~土の7:15から放映されている『おしん』。言わずと知れたNHK朝の連続テレビ小説史上最大のヒット作であり、世界50か国以上でも人気を博した名作中の名作です。
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 朝ドラ先行放送の“前座”で放映されている過去の朝ドラの再放送ではありますが、密かに新作の『なつぞら』以上にハマっている40代以下の視聴者が多いのだそうです。好評の声に応えるべく、総集編の放送だけでなく、深夜から朝にかけての一挙再放送が毎週放映されるなど、にわかに『おしん』ブームが再燃している模様です。 『おしん』が放映され人気を博したのは今から36年前の1983年。しかも、描かれているのは明治の時代から昭和にかけてです。この令和の時代、なぜ『おしん』がウケたのでしょうか。それは、視聴者の予想をくつがえす、いくつかの“裏切り”があったからだと筆者は思います。

1つ目の裏切り――「昔の作品はダサい!」面白半分で視聴してみたら…

 ちょうど1年前に放映されていた朝ドラ『半分、青い』。バブルの時代に数々のヒット作をとばした北川悦吏子氏が脚本を担当したこの作品は、多くの若者たちの心を掴んだ反面、どこか時代錯誤の展開や台詞の印象を視聴者に与えました。  Twitterでは『#半分白目』や『#半分青い反省会』などのツッコミタグやアンチタグが盛り上がり、SNSで内容につっこみながらみんなでワイワイ楽しむという朝ドラの新しい視聴方法が盛り上がりをみせたのです。
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「ツッコミ所の多いドラマをいちゃもんつけながら語り合う」――『おしん』も当初、若者の間ではそんな期待感を背負って視聴をされていたということが『#おしん』ではなく、チャレンジ枠を意味する『#おしんチャレンジ』というタグが盛況なことから推測できます。  初週こそ、乙羽信子さんの演じる現代パートのおしんが起こす家族のゴタゴタやおしんの失踪騒動が中心でした。まさに、私たちの知る脚本・橋田寿賀子先生らしい内容で、ツッコミどころも多く、『#おしんチャレンジ』のタグも本来の意味で利用されていました。  しかし、現代のおしんが自らの人生の回想を始め、本格的な少女編に入るとどうでしょう、それを忘れての物語にめりこんでしまう視聴者が多数出現したのです。 「朝が来るたびに泣かされてしまう」 「脚本の力、役者の力、全てのものに感動させられる」 「こんなすごいドラマが過去にあったなんて知らなかった」  感想サイトやSNSには多くの絶賛の声が。時代を越えた物語の力に、皆、否応なしに引き込まれて行ってしまったのです。名作はどんなに時がたっても素晴らしさは色あせません。それだけ『おしん』は名作だったということでしょう。
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2つ目の裏切り――泉ピン子、橋田寿賀子に対するイメージ
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