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なぜ今『おしん』がブーム?若者にウケた“いい意味での裏切り”3つ

2つ目の裏切り――「泉ピン子、橋田寿賀子ってうるさいオバさんでしょ?」

 ヒロインの母役・泉ピン子さんや脚本の橋田寿賀子さんは、『おしん』を語るにおいて欠かせない重要な人物です。
NHK朝ドラ100公式サイトより

画像:NHK「朝ドラ100」公式サイトより

 泉さんは、近年のドラマでは「うるさいおばさん」や「いじわるな人」を演じることが多く、バラエティでの空気を読まない発言や下品なイメージもあり、好感度は高くはありませんでした。  長くて直接的な台詞が印象的な橋田先生の脚本も、物語に流れる一昔前の空気感やわざとらしさも含め、今の視聴者が敬遠する要素の多い作風であると言えます。  しかし『おしん』で、貧乏に耐えながらも献身的に娘を愛する母を演じた泉ピン子さんの力強くリアルな演技力や、橋田先生の圧倒的な筆力はそのイメージを覆すものでした。  苦労をして女優となった泉ピン子さんの生き様が現れた当たり役であり、また橋田先生の長台詞も、その時の時代背景や状況を丁寧に説明している点でむしろ効果的でした。  15分の朝ドラゆえにわざとらしさや波乱万丈さも違和感がなく、若い視聴者たちも素直な気持ちで見ることができたのではないでしょうか。

3つ目の裏切り――「ずっと貧乏やいじめに耐え忍ぶ女性の話なのでは?」

『おしん』は、貧しい農家の出身ながらも様々な逆境に耐えて、時代を生き抜き、スーパーの経営者として成功した女性の一代記です。
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 多くの人は『おしん』というと「極寒の中、筏(いかだ)で川下り」「小さいのに子供を背負って下働き」など、「おしん=苦労、辛抱」のイメージがあります。「社会や家庭の中の多くの辛抱に耐え、文句ひとつ言わず生きる女の話」であると勘違いしている人もいることでしょう。  しかし、実際は辛抱しながらもそれだけではなく、理不尽なことがあればまっすぐに逃げ出すし、社会の矛盾にも疑問を持ち、女性の開放や自立の必要性も描いています。  時折挟まれる現代パートでの「すでに成功したおしん」の姿も、ただ苦労して終わるわけではないことを暗示し、安心して視聴することができるのです。 ========== 『おしん』は光石研さんや中村雅俊さんなど、現在ベテラン俳優として活躍されている人の若い姿を見ることができます。また描かれている時期が放送中の大河ドラマ『いだてん』とほぼ同じ時代なので、時代背景を比較してみたりと、物語以外の楽しみ方もたくさんあります。 『おしん』の再放送は来年の3月まで続きます。リアルタイム組によると、ここからがもっと壮絶なのだそう。今なら、あらすじを読んだり総集編を見て途中からでも十分入っていけるかと思います。第二次おしんブームの波に乗るなら、まさに今ではないでしょうか。 <文/小政りょう> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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