春ドラマ名作ベスト3。2位『わた定』を超えたのは?
第1位『腐女子、うっかりゲイに告る。』まっすぐな「青さ」を伝えてくれた
どのメディアでも絶賛されていますが、やはり第7話の終業式のシーンはこのドラマのクライマックスと言えるでしょう。 ゲイであることが周りに知られ、校舎から飛び降りてしまった純。怪我をおしてなんとか式には出たものの、依然として冷たい周囲の目線……と、そのとき、紗枝が突然マイクを奪い、壇上から「私はBLが大好きです!」とカミングアウトするのです。 自分と向き合った彼女の勇気ある告白を守るべく、紗枝を止めようとする教師に飛びかかる高岡亮平(小越勇輝)ら同級生たち。そして最後に壇上に上がり紗枝にキスをする純。現実的にはあり得ないことだと思いながらも、堂々と自分の気持ちを叫ぶ彼らの姿には胸を締めつけられました。
私たち人間は本来たくさんの矛盾を抱えている、わかりにくい、いや、永遠にわかることなどできない存在です。だからこそ常にその「わかりにくさ」と向き合い、立ち止まり、悩み、考えながら生きていかなければいけません。そうすることでほんの少しだけ、その先に「希望」というものが見えてくるのではないでしょうか。 「世の中、理想やキレイごとだけでは回らない」。よく言われる言葉ですが、果たしてそれは本当でしょうか? 私たちは大人になるにつれ、その言葉をまるで呪いのように唱え、いつの間にかすべてを自分に都合よく「わかりやすい」ものにしてしまっていないでしょうか? たった100年も生きられない人生で、私たちが忘れてはいけない、良い意味でのまっすぐな「青さ」を伝えてくれるドラマでした。純と紗枝だけでなく、登場人物すべての未来を応援せずにはいられません。最終回、自己紹介のシーンで純の「僕は……」というセリフで終わったラストがとても素敵でした。
今クールは『集団左遷!!』『わたし、定時で帰ります。』と、くしくも会社を舞台にした「働き方」を考えさせられるドラマ、そして『腐女子~』のように「生き方」を問いかけるドラマに見ごたえがありました。7月からスタートするドラマも楽しみにしています! <文/中村裕一> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
中村裕一
Twitter⇒@Yuichitter
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