『ディック・ブルーナ ミッフィーと歩いた60年』(ブルーシープ)
その中のコラムによると「
ミッフィーは、英国の出版社で働いていたオリーブ・ジョーンズの訳だった」との記述が。森本さんがブルーナへのインタビューで「
ミッフィーが英語でどんな意味なのかはわからない」と答えたそうです。ただ、この名付けは双方が納得した上でのこと。
「
おそらく、英語の語感からつけたのでは」とブルーナは語っています。つまり「ミッフィー」は、英語訳されたものをそのまま使用した名前なのですね。こちらも「うさこちゃん」同様、ニュアンスを重視した命名と言ってもいいでしょう。
「ミッフィー」と「うさこちゃん」。近年のキャラブームで「ミッフィー」のほうが聞き馴染みがある人も多いかもしれませんが、どっこい「うさこちゃん」はシリーズ出版部数が500万冊越えという脅威的な数字を更新中。
でもどちらにせよ、訳者の心がこもった愛らしい名前であることに変わりはありません。そしてどちらの名で呼ばれたとしても、「ナインチェ」の可愛さは普遍だと思います。
(画像:ムーミン公式サイトより)
ちなみにトーベ・ヤンソン氏の『ムーミン』に出てくる、ムーミンのガールフレンド「
スノークのおじょうさん(スノーク族の女の子)」にも日本には2つの名前があるって知ってますか? 昭和世代になじみ深いのはおそらく「
ノンノン」。1969年に日本で放送されたアニメでの名前で、演出家の奥様の愛称からヒントを得た名前だったとか。
しかし1990年放送のアニメを製作する際、原作者のトーベ・ヤンソンから「否定的な言葉を連想させる」という意見が出たため変更が決定。スウェーデン語で“お嬢さん”にあたる言葉フローケンと同じ語源のドイツ語のフロイラインから「
フローレン」となったそうですよ。
<文/もちづき千代子>
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フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
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