
その後、前撮りの写真は無事おふたりのもとへ納品され、ウェルカムスペースの飾りつけについて打合せをしていたときのことです。新婦は、「前撮りの写真も飾ってもいいですか?」と言います。もちろん、通常の前撮りであればいいのですが、このおふたりの場合は、新婦しか写っていません。私は「ウェルカムスペースは、おふたりで写ってらっしゃるお写真の方がよろしいかと」と伝えましたが、「だってかわいく写ってるのがいいもん!」ということで、前撮り写真を飾ることに。
結婚式当日、参列されたゲストは、「〇〇ちゃん、かわいー!」とウェルカムスペースの写真を見て言いましたが、「あれ? なんでひとりなの?」と言うゲストもちらほら。私は、「おひとりで撮影されたんです!」と慌ててフォローしましたが、「えー! なんでー?」と不思議そうな顔をされていました。このおふたりは、披露宴もスムーズに進み、滞りなくお披楽喜(ひらき)を迎えました。
本人はとても喜んでいたので、私は安心しましたが、それでもやはり新郎新婦揃っている写真を飾る方がいいのにな、とつい思ってしまいました。でも後になって振り返ると、新郎新婦にしかわからない理由やこだわりを、聞いてみれば良かったかもしれません。今の時代、旧来の価値観を当たり前と思い込むのは良くないなと、勉強になった出来事でした。
<文/長谷川真美>