
「子どもが生後半年を過ぎた頃に、ママ友4人でキッズカフェに行ったんです。みんな初めての子育てなので、赤ちゃんはどれくらい母乳を飲むかという話題から、予防接種までリアルな話題が飛び交い、ママ友ってこういう話をするんだと内心、感動していたんです。
でも、その中のあるママさんが、『
フッ素は知能が低くなるって知っていた?(※)』と話し出してから、私が思っているようなママ友トークから、どんどん離れていきましたね。子どもには、安心できる食材しか食べさせたくないという話題で盛り上がり、『
無農薬野菜を一緒に買わない?』と誘われました。私は、宅配が面倒だったので『夫がそういうの嫌がるから……』とやんわり断ったつもりだったのですが、『私が説得してあげようか』と別のママさんが言い出して。自分は場違いかも…という気持ちになりました」
子育てに正解はないものの、どうしても自分の育児が正しいと思ってしまいがちかもしれません。
「私は、なかなか母乳が出なかったので、母乳のほかにミルクも与える混合と呼ばれるやり方だったのですが、みんな完母だったので、『母乳が出なければ、出るようになる
桶谷式を紹介するよ』と、独自のマッサージ法を勧められました。気が強いのか、
自分の育児が正しいという姿勢を崩さないので、ちょっと意識高い系のママとは距離を置こうかなと思いましたね……」
“意識高い系”というより実際に意識が高いママ友たち。弥生さんが経験したケースは極端だったかもしれませんが、不安げに子育てをしているママたちにとっては、自分の育児の答え合わせをしたいためのママ会なのかもですね。ただ、子育てに熱心なのはいいですが、自分の考えを勧めるのはほどほどがよさそうです。
※編集部注:ここ数年、フッ素(フッ化物)と子供のIQ低下について複数の海外論文が示唆して話題になりましたが、いまだ議論の途中で結論は出ていないようです。
―シリーズ「
親としてのエピソード集」―
<文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/ただりえこ>