一方で、「温水洗浄便座の使い過ぎで痔になる」などのウワサもあり、洗浄シャワーの使い過ぎでかゆみやただれなどを引き起こす「温水便座症候群」なるものも言われていて、実際どうなのか気になるところ。

山口先生によれば、温水便座症候群は医学用語ではなく、肛門科の医師による研究報告のひとつだそうです。
「温水便座症候群は、洗浄シャワーの使用でかゆみなどが起きるとされていますが、長年使用していてもかゆみがないという人もいるので、症状の有無は個人差があります」とのことで、正しく使用していればそれほど心配しなくていい様子。
また、「
温水洗浄便座を使ったからといって痔になるということもありません。洗浄シャワーを使用した際に、もともとあったのに気付いていなかった傷がしみて、『痔になった!』と勘違いした人がいたのかもしれませんね」とのことでした。

必要な時にだけ、適切な時間や水圧で使用するべきという温水洗浄便座。毎回使う習慣になっていると、ペーパーだけで拭き取れているのか心配になることがあるかもしれません。
山口先生は、「肛門周辺の細菌が陰部へ移ると膣カンジタなどを起こすことがあるため、前から後ろへ拭くようにしてください。ただ、ごしごしこすらなくても、
肛門にペーパーをあてるだけで周りの汚れは拭きとれますよ」と、汚れが付かなくなるまで“抑え拭き”をするのが正しいおしりの拭き方だと教えてくれました。
ただそれ以前に、女性は硬い便による切れ痔が多いこともあり、「おしりの負担やトラブルから考えても、
洗浄シャワーを使用しなくてもいいような、肛門周辺が汚れない“いい便”を常に出すことが大切です」と山口先生。温水洗浄便座の使い方を気にするよりも、便通を整える生活を意識することが先決のようです。
【山口トキコ】
マリーゴールドクリニック院長。日本大腸肛門病学会専門医。東京女子医大大学院卒、東京女子医大一般外科医局での研修を経て、社会保険中央総合病院・大腸肛門病センターに6年3ヶ月勤務。2000年に東京都港区赤坂にマリーゴールドクリニックを開業。
<文/千葉こころ>
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自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中