
「はじめは結婚=子どもという考えが自分の中にあったので悩みましたが、主人と話し合えたので今、葛藤はありません。」そう力強く答える景さんは現在、4匹の愛猫に愛情を注ぐ日々を送っています。そして、彼女の胸には夫が言った“ある言葉”が残っています。
「
来世でまた結婚して、その時子どもが欲しかったら4人産もう。その分、今世は2人で過ごそう。」
話し合いを何度も重ねてきたからこそ、新たな気持ちで前を向く強さを手に入れられた2人。持病と向き合い、子どもを持たない人生を歩むことを決めた景さんに、もし同じような思いをしている人がいたらどんな言葉を送りますかと尋ねると……。
「子どもは周りから望まれて産むものでも、一方的に望むものでもないと思います。だからもし、周囲の人が子どもを望んでも自分はどうしたいのかを考えていけたらいいですよね。
子どもを持つ・持たないで女性の価値を決める人はあなたにとって大切にする存在ではないです。“あなた”という人は尊い存在なのだから、もっと自信を持ってほしい。」
小さな姪っ子や甥っ子をかわいがる自分の母親を見ると芽生える、「孫の顔を見せてあげたい」「孫を抱っこさせてあげたい」という思い。子どもを持たない理由を話した時、病気に理解のない人から「薬をやめればいいだけでしょ?」と言われる悲しさ。そして、人手不足であり続ける福祉業界の厳しい現状。闘わなければならないものはまだまだ多くありますが、景さんは少しずつ新たな人生を歩み始めています。
―シリーズ「
親としてのエピソード集」―
<文/古川諭香 イラスト/ただりえこ>
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古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291