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女ひとりで「春画展」。このエロ芸術はアニメやAVにつながっている

 巷で話題の「春画展」(12月23日まで、永青文庫・東京都文京区)に行ってきました。
春画展 歌川国芳「華古与見」 

歌川国芳「華古与見」 国際日本文化研究センター蔵

 春画とは、性風俗を描いた浮世絵のことです。その春画展が大英博物館で大盛況だったことなどが評判となり、満を持しての日本公開となりました。  連日日中は入場規制がかかるほどの混雑だとか。夜はゆっくり見られるとのことなので、日が落ちてからゆるゆると展示会場の永青文庫へ向かいました。

18禁の春画展に女ひとりで行ってみた

 さて会場は18禁。開催地がなかなか決まらなかったというこの展覧会ですが、果たして「春画まみれの展覧会はあはあ」とか、興奮していても立ってもいられなくなっちゃうんでしょうか。 ⇒【画像】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=366073
春画展 喜多川歌麿 「歌満くら」

喜多川歌麿 「歌満くら」 浦上満氏蔵 

 次々と押し寄せる性描写を見て、ついイヤらしい気分に……は、なりませんでした。うん、ならない。それよりも陰部の描写が詳細だし誇張もあってやたら大きく描かれていたりするので、つい凝視してたらちょっと気持ち悪くなってしまいました。  これまで、浮世絵の展示の中にいくつか春画を混ぜることはあったそうですが、春画のみの展示は日本初だそうです。でも「オンリーイベント」であることのすばらしさがたくさんあったように思います。

女性も性を大らかに楽しんでいたらしい

「プロローグ」と題した展示コーナーでは、愛を交わす直前の2人の様子が描かれている絵が並んでいました。春画は複数枚で1作品を表現するものがあったそうです。プロローグは、描写としては控えめですが2人の関係や感情の動きがよく表れています。春画は、ただセックスシーンを描いた浮世絵なのではなく、ストーリー仕立てのものもあったのですね。
春画展 鈴木春信「綿摘女」

鈴木春信「綿摘女」

 それから、男性だけではなく女性も性を謳歌していたらしいことに驚きました。オーラルセックスを描いたものが多いこと。ほかにも3P、子どもをあやしながらなど、屋内外のさまざまなシチュエーションが描かれています。今や日本は世界有数のセックスレス大国ですが、昔はこんなに性に対して大らかで情緒豊かだったなんて。  日本のエロは「ヘンタイ」として外国人にも有名です。ドイツ人男性に日本について知っていることを聞いてみたら、サムライ、スシ、ヘンタイと言われたことがあります。サムライ、スシに並んでヘンタイですか……。しかし整然と並んだ春画を見ていると、AVやエロ漫画に見えるヘンタイのルーツを感じました。

エロアニメの定番「触手」のようなタコ

 葛飾北斎の『蛸と海女』は、仰向けになった女性の股間に大蛸が吸い付き8本の足をクネクネと女性の身体に絡ませている絵です。エロアニメや漫画で定番の「触手」を彷彿とさせます。確か、タコと絡んで有名になったAV女優さんもいたような……と思って検索してみたんですが、今やタコはAVでは常連客らしくて大量の作品が検出されてしまい、とうとう誰だったのか思い出せず。AVってどんどん進化するのですね。  進化といえば1990年代に登場したエロレディスコミック。激しい性描写で話題になりました。最初は行為そのものを描写するだけでよかったのですが、そのうちに読者の目が肥えてしまいます。単なる行為では物足りなくなっていき、道具は使うわSMはするわでたいへん過激になっていきました。  春画も同様だったようです。「過激な描写でなければ読者が満足しなくなってきた」と記された本の解説がありました。春画は相当な数が出回っていたそうなので、どんどん表現に工夫がされていったのでしょう。AVやエロレディスコミックも、大量生産のため表現が豊かになったところは同じなのかもしれません。 ※エロくて粋なTシャツなどグッズもお楽しみ【春画展】 【会 期】2015 年 9 月 19 日(土)~12 月 23 日(水・祝) 【会 場】永青文庫 (東京都文京区目白台 1-1-1) 【開館時間】9:30~20:00(日曜は18:00 まで) 【休 館 日】毎週月曜日(祝休日の場合は開館) 【入 館 料】大人 1500 円 http://www.eiseibunko.com/shunga/ <TEXT/和久井香菜子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【和久井香菜子(わくい・かなこ)】 和久井香菜子ライター・イラストレーター、少女漫画コンシェルジュ。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表
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