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「JIN」「テセウスの船」「光源氏くん」に見る、タイムスリップものの魅力とは?

「いいね!光源氏くん」千葉雄大が“イケメン大渋滞”から抜け出した

「いいね!光源氏くん」(NHK総合 土曜よる11時30分)は日常に“雅(みやび)”がもたらされるドラマ。これはいま、のきなみ新作の制作が中断されているこの時期、貴重な新作である。5月2日にこれまでの回(一~四絵巻)の一挙再放送も決まった。
「いいね!光源氏くん」(C)NHK

「いいね!光源氏くん」(C)NHK

 平安貴族・光源氏(千葉雄大)が現代に“タイムスリップ”ならぬ“次元ジャンプ”して来る物語(光源氏は「源氏物語」で描かれたフィクションの人物で、実在の人物ではない事からドラマでは”次元ジャンプ”という表現にしているそう)は、もしも平安貴族が現代に存在したら?というコント仕立てで、烏帽子をずっとかぶっているとか感動すると和歌を詠むとかたわいないおもしろエピソードが数珠つなぎ。  光源氏を家に住まわせているヒロイン(伊藤沙莉)は世間知らずの光源氏に手を焼きつつ、彼の魅力にまんざらではなく、次第に彼との関係に感傷を覚えていく。そりゃそうで、レジェンドイケメンの光源氏である。見目麗しいうえ仕草のいちいち魅力的。しかも、現代人がもっていない品や知性がある。
「いいね!光源氏くん」(C)NHK

「いいね!光源氏くん」(C)NHK

「イケメンが大渋滞」という言葉があるが、近年、イケメンと呼ばれる俳優がいっぱいい過ぎて差別化が難しい。メガネイケメンとか筋肉イケメンとか演技派イケメンとか刀剣イケメンとか得意ジャンルを持たなくては生き残れない。たくさんのイケメンに慣れすぎた現代女性が雅なイケメンとしての平安貴族と出会う。このシチュエーションは確実に萌える。恋愛ものにつきものの恋人との意見のすれ違いも、現代と平安時代の差として描くことで新鮮な物語となるのである。  現代劇だと童顔ゆえに役が限られてしまいがちな千葉雄大が、その童顔を現代人との違和感に置き換えることで大渋滞から抜け出したといえるだろう。「いいね!光源氏くん」は“三位の中将”に位が上がった頭中将(桐山漣)まで投入(ドラマでは「中将」)。雅感増量。BL風味も振りまいて大サービスである。
「いいね!光源氏くん」(C)NHK

「いいね!光源氏くん」(C)NHK

「素敵な選TAXI」竹野内豊の謎の存在感、時を司る全能感

 ほかに現代人と歴史人の恋を描いた傑作タイムスリップものとしては、現代の高校生(小栗旬)が戦国時代にタイムスリップして織田信長になってしまう「信長協奏曲」(フジテレビ系)がある。今こそこれを再放送してほしいのだが、フジテレビは「素敵な選TAXI」(フジテレビ系 火曜よる9時)を再放送作として選んだ。
(画像:「素敵な選TAXI」関西テレビサイトより)

(画像:「素敵な選TAXI」関西テレビサイトより)

 これもまたタイムスリップものだが、近過去と現在の行き来で時間の飛距離が短い。だが、ちょっとした日常の後悔を過去に戻ってやり直させてくれるタイムマシンであるタクシーの運転手(竹野内豊)は、現代人とはちょっと違った、飄々(ひょうひょう)として謎の存在感、時を司る全能感があって心をくすぐる。  昔はふつーにイケメンだった竹野内豊がこんなふうにちょっとキザな怪しいおじさんとしても活躍する姿を「ビーチボーイズ」(97年 フジテレビ)放送中の20年くらい前の本人が見たらどう思うんだろうか。と違った意味(それもいい意味)で隔世の感を覚える。ここで「ビーチボーイズ」を並行して再放送すると竹野内豊のタイムスリップ感が味わえそうとひと妄想。
「ビーチボーイズ」フジテレビジョン

「ビーチボーイズ」フジテレビジョン

 結局、時空を超えて素敵な運命の人に巡り合う、これがタイムスリップものの醍醐味なのである。 <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木俣 冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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