そんな知佳さん一家に、お金の問題が降りかかります。
「なまなましい話ですが社宅費4万、食費3万、光熱費1万、通信費2万、雑費1~2万、保険料7万、奨学金返済2万……ただでさえひと月約20万円の支出。主人の収入も、深夜残業も休日手当も入らない今となっては基本給20万と少しもらえれば良いほうです。なのに新居の建築はいまも進んでいて、6月には引越しと受け渡し費の支出、それにローンの返済が始まります。袋の鼠といいますか、まな板の鯉といいますか、よく考えられた言葉だなあと痛感しています。とにかくもう、あとがありません……」
幸せの絶頂から、人生最大のピンチに落ちつつある知佳さん一家。「だからわたし、行動を起こすことに決めました。夜活っていうやつです」と語気に力を込めます。追い込まれた彼女が決断した「夜活」とは、いったい何なのでしょうか。

知佳さんが始めたのは、正社員採用をねらった転職活動なのだそうです。
「子どもの寝顔を見ていたら、やらないわけにはいかない! と思いました。パートタイムでしか働けない子持ちママを正社員で採用するなんて、基本は無理だって分かっています」
案の定、転職相談の窓口に事情を打ち明けても、担当者は困惑するばかりだといいます。
「それでも少数ながら、退勤時間が子どもの降園にまにあう会社もありますから、希望がないわけではありません。長期戦も覚悟しています。少しのチャンスでも惜しいので、資格試験の勉強もふたつ始めました。
夜9時に子どもを寝かせてから深夜1~2時まで、求人情報を見たり履歴書を用意したり資格の勉強をしたり、夜活に励んでいます。朝8時には起きないといけないので、しんどいです。子どものお昼寝時間も転職活動にあてています」
「つらいですけど」とひと言めには置いたものの、すぐに続けて「このピンチをチャンスに変えられる人がどれだけいるか、試されているような気がします」と語る知佳さん。原動力になっているのはコロナ終息の先に待っている、家族との平和な日々なのかもしれません。
<取材・文/山田茉美>