一方、洋楽に目を転じると、最初からネタ的なウケを狙った一発ヒットは多くあります。ロス・デル・リオの「恋のマカレナ」(1996年全米1位、オリコン洋楽シングル1位)とか、ライト・セッド・フレッドの「I’m Too Sexy」(1991年全米1位)みたいなノヴェルティソングが、たびたびチャートを賑わせてきました。
2000年代には、ジェームス・ブラントの「You’re Beautiful」(2006年全米1位)や、ダニエル・パウター「Bad Day」(2005年全英2位)のような、オーソドックスなバラードの一発ヒットも産まれましたね。
ただ、瑛人のように、心底マジメに曲を書きながら、奇跡的にオモシロすぎるフレーズが生まれてしまった例は、不勉強にして知りません。そういう意味でも、「香水」は他に類を見ない一曲なのです。
今後、瑛人がどのようなキャリアを歩むかはわかりません。一発屋で終わらず、案外堅実な活動を歩む可能性だってなくはないでしょう。いずれにせよ、ある時代の殺伐とした世の中で、いい感じに脱力させてくれるフレーズを生んだ事実だけは、胸に刻みたいものです。
ど~るちぇ あ~んど がっば~な~の
<文/石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter:
@TakayukiIshigu4