「そんなとき、夫となるタイチと知り合ったんです。彼は2歳年下で、ちょうど就職が決まったところでした。彼と知り合ったのは偶然。街で私がちょっと過呼吸気味になったところを助けてくれたんです」
そこからつきあいが始まった。彼女が風俗店に勤めていたことも話したが、彼は動じなかった。エンジニアとして仕事が決まっていた彼は、「ちょっと変わったオタク系の人」だという。
彼にとって、彼女は初めての女性だった。そして何も詮索せず、すべてを受け入れてくれた。
彼女は予定を変更して、ある専門学校へ入学、2年後に資格をとって仕事を始めると同時に、彼のプロポーズを受けて結婚した。
「私は親と疎遠になっていましたから、結婚式などは挙げたくなかった。彼はそれでもいいと言ってくれて」
そこから彼女の人生は、大きく開かれていくはずだった。だが、仕事をしながら子どもを3人、産み育てていく中で、彼女はいつも息苦しいような鬱屈感を抱いてた。

「ヘンな言い方ですが、夫は仕事も順調で、それなりに出世もしていきました。結婚して4年後には家を買ったし、何もかもうまくいっていた。ただ、どこか夫とは心が行き交わない。
夫はいついかなるときも頭の中は仕事でいっぱいなんです。家に帰ってきても、子どもと遊んでいても、実は仕事のことを考えている。
私が、夫にそのことを言えればいいんだけど、私は私で自分に自信がなくて、とにかく『私なんていてもいいの?』という気持ちが抜けないわけです、どんなに子どもを産もうが、その根っこの部分が消せない。
夫とは表面上、うまくいっていたけど、たぶん夫は私の中にある自分でも『めんどうくさい』と思う面を、どこかうっとうしく思っていたんじゃないでしょうか」
自分でも、自分の性格を持て余し、ときにつきあいきれないと思っていたと、レイコさんは笑う。だが、そんな彼女が3年前、ある男性に会って驚くほど変わっていった。