大嫌いな父と正反対の男性を選んだ女性、婚約2年で結婚に踏み切れない胸中
女性は多かれ少なかれ、異性観において父親から影響を受けるのではないだろうか。結婚相手を選ぶとき、「父のような男性が理想」と言う人もいれば、「あえて父と正反対の人を選んだ」と話す人もいる。
今回は、大嫌いだった父と正反対の男性を選んで婚約したものの結婚に踏み切れない女性に話を聞いた。

「うちの父は他人に厳しく自分に甘いという典型的な自分勝手。母や私が何か言うと、『女子どもがエラそうに言うな』というモラハラ男でもありました。父のことは大嫌いで、そんな父と離婚すらできない母にもうんざりしていましたね」
そう言うのはマナさん(35歳)だ。結婚なんかするものかと思いながら成長した。大学時代に恋はしたが、ケンカしたときに「エラそうなこと言って」と彼がつぶやいてすぐ、マナさんは別れをつきつけた。
「有無を言わせない感じでしたね。とにかく父親と同じような言動の人は排除したかったんです」
父は酔って帰ってきては、玄関でうだうだと寝転がり、母が父を抱きかかえるようにして寝室に連れていった。そんなことから酒好きの男性も嫌だったと彼女は言う。
「父は小さいながら会社を経営していて、お山の大将だったんです。逆らう者は許さない。いつも持ち上げてくれる人だけをそばに置いていた。
私が大学を卒業して数年後、リーマンショックの影響で会社がうまくいかなくなったんです。私はすでに家を出て独立していましたが、父があちこちに頭を下げていると母から聞いて、これで少しは性格が変わるかなと思ったんです。ところが父は私に連絡してきて、『おまえの会社からお金を借りてくれないか』って。ふざけるなって言ってやりました」
結局、会社は倒産。母が朝から晩まで働き、父は家でぼんやりする日々が続いたという。その後、父もアルバイトを始め、そこからまたのし上がって起業した。たくましいなと思うと同時に、誰かを踏み台にしても常に上を目指す父の生き方が、はたからみて痛々しいとさえ思った。
「20代も半ばを過ぎると、だんだん結婚していく友だちが増えてきました。結婚なんかしないと言っていた私も、パートナーがいたほうがいいなと思うこともあって。ただ、父親とはまったく正反対の人がいいとずっと思っていました。なかなかいませんでしたね」
31歳になったとき、「マナの好きそうなタイプがいる」と友人が紹介してくれたのが、3歳年下のカンタさんだった。
カンタさんは姉ふたりと妹のいる4人きょうだいで育った。両親はレストランを営んでおり、「よくも悪くも適当に放置されて育った」と本人が言っているという。
「姉たちと妹は気が強くて、自分はいつもお父さんと小さくなっていたって(笑)。お母さんも強い人だって。初めて彼の家族に会ったとき、確かに女性たちがわいわいがやがやしゃべっていて、食事を作ったり運んだりしているのはお父さんと彼でした。
彼はおとなしくて、女性の言うことに逆らえない人なんですが、あの家族を見れば、そりゃあこう育つよねと思ったのを覚えています」
カンタさんはただおとなしいだけではなく、心根のやさしい人だ。マナさんは決して人の悪口を言わず、自ら動いて人のために尽くそうとする彼の気持ちに惹かれた。
ところがつきあいが2年たっても彼からプロポーズの言葉はない。業を煮やして、彼女からプロポーズ。彼は「うん、結婚しよう」と言った。

写真はイメージです(以下同じ)
父が大嫌いだった

おとなしくて私の言いなりだった彼
