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ドラマでコロナをどう描くか?「半沢直樹」と「#リモラブ」は真逆の英断

リスキーな判断をあえて選んだ『姉ちゃんの恋人』

 コロナを描くか、描かないか……その判断は今のドラマを製作するうえで最初に判断する重要事項になりつつあります。  二択を迫られ、多くのドラマは、制作的にラクなコロナが無い世界線にしたり、時間軸をずらすなどの判断をとっています。しかし、正面から描かずともコロナにも言及することを選択した姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系)の判断は珍しいモノでした。
『姉ちゃんの恋人』

画像:関西テレビ『姉ちゃんの恋人』公式サイトより

 登場人物たちはマスクはせずバーベキューや草野球に興じたり、ホームパーティーをしながらも「このご時世」の世知辛さを話題にしたり、居酒屋に同僚たちと行くにしても「最近行っていないから久々に行くか」など枕詞をおいたりと、コロナを忘れない姿勢がちらほらみられます。  ホームセンターが舞台と言う内容もリアリティがあるため、ふと我に返ってしまうこともある結果、「コロナの描き方が甘い」「現実と虚構の境界線があやふや」という厳しい意見もありました。ですが、そんなリスクを冒してまで話を曲げずに現実を取り入れようとする姿勢に、制作陣のこの作品の内容に対する自信を感じさせます。  互いに暗い影が過去にありながらも、一生懸命に今を生きる有村架純さんと林遣都さんがおりなす岡田恵和脚本の温かなストーリーは、回を追うごとに満足度が上昇していると業界内でも評判です。

「コロナをどう扱うか」の重要な判断

 この未曽有(みぞう)の状況に、多くのドラマ制作者は「コロナをどう扱うか」という重要な判断を迫られました。それぞれの作品が下した結論によって、内容が変化したものもあるでしょう。  普段ならしなくてもいい余計な決断を下した制作者の気苦労、それは計り知れないものがあります。早くコロナの表現など余計なことを考えず、純粋に作品を楽しめる日が来ることを願います。 <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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