その意味で、スタイルを徹底する宮本浩次の活動は、ひとつの教訓となるはずです。
同じく黒しか着ないジョニー・キャッシュ(1932-2003 アメリカのカントリーシンガー。代表曲に「I Walk The Line」、「Folsom Prison Blues」など)だとか、ステージでは常に上半身裸のイギー・ポップ(73、アメリカのパンク歌手。代表曲に「Lust For Life」、「China Girl」など)も、浮き沈みがありながら、スタイルを守り、偉大なキャリアを築いてきました。いまの宮本は、彼らがたどった道の入り口に足を踏み入れたように見えるのですね。

いつも服は黒のジョニー・キャッシュ『Johnny Cash And The Royal Philharmonic Orchestra』
54歳にして、初のチャート1位。頑ななポリシーに、経年変化でほんのちょっとひねりが加わった妙味から生まれた快挙なのだと思います。
<文/音楽批評・石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter:
@TakayukiIshigu4