両親の性行為を見てしまい「セックス依存症」に。なぜ?専門家が解説
両親の性行為を見せるのは“重大な虐待”
ちなみに性的虐待の一環として、自分たちの性行為をわざと子どもに見せる親もいます。これはかつて私が携わった女性のアルコール依存症者の例なのですが、子どものころ義父が母親を性奴隷のように扱っている様子を繰り返し見せられていたそうです。
やがてその光景が外傷体験になった彼女は、アルコール依存症と不特定多数の男性との危険な性行為がやめられないセックス依存症を併発していました。クリニックのディケア内でも、すぐに男性患者と性行為に及んでは妊娠と中絶を繰り返してトラブルになり、結局治療が中断してしまいました。
日本の住宅事情では、子どもが小さいうちは家族で「川の字」になって寝ることも少なくありません。同室でなくても和室で隣の部屋の声が筒抜けになるなど、Jさんのように子どもが親のセックスを図らずも目撃してしまうことが多々あります。そして両親の性行為を見た子どもにとって、場合によってはその記憶が外傷体験となり、なんらかの形で強迫的な嗜癖行動としてあらわれることもあると関係者は心に留めておいたほうがよいでしょう。
<斉藤章佳 構成/目黒川みより>斉藤章佳
精神保健福祉士・社会福祉士。西川口榎本クリニック副院長。1979年生まれ。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症回復施設の榎本クリニックで、ソーシャルワーカーとしてアルコール依存症をはじめギャンブル、薬物、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニア(窃盗症)などあらゆる依存症問題に携わる。専門は加害者臨床で、現在までに3000人以上の性犯罪者の治療に関わる。著書に『男が痴漢になる理由』『万引き依存症』『盗撮をやめられない男たち』など多数
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