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両親の性行為を見てしまい「セックス依存症」に。なぜ?専門家が解説

 セックスや自慰行為などの性行動を強迫的に繰り返してしまい、それが原因で社会的損失や身体的損失、さらに経済的損失を被ってしまう「セックス依存症」の問題。昨今は芸能人の不倫スキャンダルなどがきっかけとなり、依存症の一種として広く知られるようになりました。  ソーシャルワーカー(精神保健福祉士・社会福祉士)として、長年さまざまな依存症分野の臨床に携わる斉藤章佳さんの著書『セックス依存症』(幻冬舎刊)によれば、当事者が依存症となる素因には、幼少期の生育環境や両親との関係が強く影響するとされています。  なかには家族と暮らす日常のある出来事、子どもにとっての心的外傷(トラウマ)となり、将来大人になったときに性依存症に陥る素因となることもあるようです。以下は子どもの頃に両親のセックスを観てしまった30代女性のケースです(以下、斉藤さんの寄稿)。

親のセックスを目撃してしまい…

覗く

※画像はイメージです(以下、同じ)

30代女性・Jさんのケース)  Jさんは小学生のころ、木造の古びた一軒家に家族と暮らしていた。  ある暑い夏の夜、のどが渇いて目を覚ましたJさんは台所に向かった。彼女の部屋から台所に行くには、両親の寝室の前を通らなくてはならない。その際、ドアの下から薄明かりが漏れて、中からは苦しそうな母の声が聞こえてきた。  気になったJさんがドアを少し開いてみると、そこには暗闇で重なる裸の両親の姿があった。母親が父親に押しつぶされているような体勢にひどくショックを受けたJさんは、すぐにその場を立ち去ったものの、その夜はなかなか寝つくことができなかった。

反復的な性行動は“トラウマ体験の後遺症”

 親の悪意のない行動が、結果として見えない虐待となるケースがあります。「プライマリーシーンの目撃」です。これは子どもが親の性行為を目撃して外傷体験になってしまうというもので、臨床現場ではしばしば当事者から告白されます。  たとえ両親が仲良くセックスをしていたとしても、正確な知識や経験のない子どもはその情報を適切に処理できません。母親が父親と身体を重ねる姿は、子どもが見れば「お母さんはお父さんに虐げられているのではないか」「見てはいけないものを見てしまった」とすら思ってしまいます。そしてその強烈な記憶がトラウマとして、記憶に植えつけられていきます。  やがて大人になると、そのトラウマを癒やすために盗撮行為やのぞき行為がやめられなくなったり、強迫的な性行動に耽溺したりするケースがしばしば見られます。性依存症者のなかには、子どものころに両親のセックスを見てしまったことがある人も少なくありません。精神分析学者のフロイトは、このような過去の外傷体験の影響で何度も強迫的にその行動を繰り返すことを「反復強迫」という形で説明しています。  人間は、五感から得た情報を脳内の海馬で記憶として処理し、データベース化します。しかし戦争や災害、交通事故の目撃など、日常ではまず体験しない衝撃的な光景を目にしたとき、その情報が適切に処理されずに、脳内でいわゆるバグが生じてしまいます。それがトラウマ体験の後遺症としてさまざまな問題行動を引き起こす要因になると考えられています。  親のセックスを見た子どもがその情報を適切に記憶のなかで処理できず、反復強迫として、その外傷体験を癒やすために不特定多数の相手とセックスを繰り返してしまうというのも、ひとつのパターンです。
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両親の性行為を見せるのは“重大な虐待”
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