
コロナ禍で「女性の貧困問題」がその勢いを増している。
8月の労働力調査によれば、25~34歳の女性の完全失業率が4.7%に上昇し、約5年ぶりの高水準となった。女性の労働問題に詳しいジャーナリストの竹信三恵子氏は次のように語る。
「打撃を受けた飲食業・観光業・小売業の従事者のうち約6割が女性であり、その多くが非正規。現状、女性は何かあればクビを切れる、雇用の調整弁にされている。特に今回は対人サービスが得意領域である“女性”の特性がコロナ禍で裏目に出てしまった形です」
コロナ禍で女性が追い詰められているのには構造的な問題もある。
「日本では“夫”や“親”というセーフティネットありきのイメージで女性の賃金や労働形態が出来上がっている。独立して生きる女性が増えた現代社会において、日本の労働環境が追いついていないという現状が如実に表れた形です」
打開策となる助成金も、制度をつくるだけでは不十分だという。
「たとえばシングルマザーには助成金を受けると“貧しい”として子どもが指さされるのを恐れる人もいる。公的機関による適切な助言や支えが必要なのですが、公務員削減で手が回っていません」
女性の貧困に関連したショッキングなデータはほかにもある。
「10月の自殺者数が、コロナ感染の総死亡者数を上回る2153人となり、女性の自殺者は前年同月比で82.6%増まで急増しました。その増加率は男性の4倍。自殺の理由を明確に結論づけるのは難しいですが、経済的問題も絡んでいることは間違いない。
また、緊急事態宣言までは誰もが苦境にあるという雰囲気でしたが、夏以降は好調な業種との格差が見えてきた。自分だけ取り残されていると感じた人も多かったはずです」
第3波の到来で、先行きはますます暗くなりそうだ。

竹信三恵子氏
【ジャーナリスト・竹信三恵子氏】
和光大学名誉教授。NPO法人官製ワーキングプア研究会理事。専門は労働社会学、ジェンダー政策。著書に『
女性を活用する国、しない国』(岩波ブックレット)など。
―[密着ルポ]コロナ貧困女子の“いま”―
<取材・文/週刊SPA!編集部>