のん×大九明子監督「30歳も楽しみだけど、選べるなら6歳児がベスト!」
芥川賞作家・綿矢りささんの小説を原作に、脳内にいる相談役「A」とおひとりさま生活を楽しむ31歳のOLみつ子(のん)が、年下の営業マン多田くん(林遣都)に恋したことから不器用に歩き始める姿を見つめた『私をくいとめて』。
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『勝手にふるえてろ』でも綿矢原作に挑んだ大九明子監督が、映画化し、第33回東京国際映画祭では観客賞を受賞しました。みつ子を演じたのんさんと、大九監督を直撃。おふたりが抱く「30歳」への思いなどを聞きました。
――みつ子は新しい恋に踏み出すことに、苦労しています。大人になって以降の恋がもたらすパワーはどんなものだと思いますか?
大九明子監督(以下、大九監督)「寿命が延びると思いますよ。無理にしなきゃいけないことはありませんが、するチャンスがあるならしたほうがいいと思います。ただしんどくもありますけど。必要悪みたいなものなので。でも、いったん傷ついたとしても、結果寿命が延びると思います」
のんさん(以下、のん)「めちゃめちゃいいと思います。前に綿矢さんが映画の多田くんとみつ子を観て『こういうゆっくりじっくり関係を作っていくふたりのペースがあるんだなと分かった。すごく納得した』とおっしゃっていたんです。それが印象的で。確かに学生時代のように限られた時間でドキドキしたり焦ったりするのとはまた違って、自分自身が気持ちに追いつくまで待ちながら進んでいくこともできるんじゃないかなって。自分の土台があって出来る恋って、ステキだと思います」
――「A」という設定は、突飛でありつつ、共感しやすい女性も多いかと思います。のんさんはどう感じましたか?
のん「私も、『A』のようにいつも話を聞いてくれるスタッフがいるので、その存在がなかったなら、『A』を作り出していたなと想像しました。あと、自分の中で浮かんだのが、BBCのドラマ『シャーロック』の1話で、ベネディクト・カンバーバッチが車の中で喋っているときに『返事はしないでくれ、自分の頭の中で喋りながら整理してるんだ』と言っていたのがリンクしました。確信を持つのに言葉にして聞いてもらったほうが明確になるし、喋りながら発想することもある。『A』は自分自身だし、めちゃくちゃいい存在だなと思いました」
――監督は、みつ子を30オーバーにすることは譲れなかったとか。
大九監督「おひとりさまの感じを、決してファッションでなく、楽しめている人が良かったんです。たとえば『一人で行ってきました!』とインスタに上げるためにひとりで旅をするのとは違って、骨の髄までひとりで楽しむことを楽しめる。それにはそれなりの年齢が必要だなと。実はわたし自身、29歳から30歳になるときに、『このまま何も成し遂げないまま朽ち果てるのか』とすごくあがいた経験があって、海外でバックパッカーしたりしてました。でもいざ30になってみると、なんてことなくて、むしろ少し自由になれたんですよね」
自分の土台があって出来る恋ってステキ(のん)
ヒロインは骨の髄からおひとりさまを楽しめる30オーバーの女性(大九)
『私をくいとめて』12月18日全国ロードショーオフィシャルサイト