――本作では登場人物が他人に押し付けられることなく、自分自身でチョイスしていく姿が印象的ですが、おふたりは日ごろどんな考えですか?

『私をくいとめて』より
大九監督「私は自分が押し付けられることがすごくイヤで、放っておいて欲しいので、人のことも放っておくように気を付けています。
みんな好きなように好きなことをすればいいと思うんです。極端なことを言うと、ちょっとくらい人に迷惑をかけてもいいと。今ってみんなが怒りすぎで、迷惑をかけなさすぎる。誰が不倫しようが別に家庭の問題なのだから、そんなの日本中で考えなくていいよと思いません? みんな好きなようにすればいいと思いますよ。でも犯罪はダメです」
のん「私も押し付けられるのが好きじゃないんですけど、めちゃくちゃ押し付けたい人なんです。『なんで分かってくれないの!』って」
――素直!(笑)。
のん「特に10代のときまでは自分が正義だと思ってたんですけど、そんなわけはなくて。でも今でもそうした部分は拭えないところがあります。けど、かなり柔らかくはなりました。そういえば20代前半までは現場でもピリピリしてました。でも自分自身がやりづらくなるというか。自由にしているのが一番だなと思って、今回の現場では“省エネ”を開発しました」
――省エネを開発?? 撮影の合間のことですか?

『私をくいとめて』より
のん「そうです。待ち時間。初めて省エネを身に着けました。それまでは現場でぼ~っとしてたりすると、『ぼ~っとするな』と思われるんじゃないかと思って、ピリピリしてる風にしてたり」
監督「風! あはは!」
のん「
『馬鹿にされないぞ』みたいに構えてたんですけど、今回はちょっとぼ~っとしてみようと思って実験してみたら、割とよかったんです。省エネ」
大九監督「そうだったの? 気づかなかったなぁ」
のん「存在を消してたので。巧みなんです。これからは省エネを大切にしていこうと思ってます」
(C) 2020『私をくいとめて』製作委員会
<文・写真/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi