そして、木のストローは近年の脱プラスチックや海洋プラスチックごみ問題の波にのり、さらに新たな展開をしていきます
まず、社内で木のストローのプロジェクトが発足、自社で製造し、普及させていくことが決まりました。
それからほどなくして、2019年に開催されたG20の首脳会合と関係会合すべてで、木のストローが採用されることになります。木のストローの「世界デビュー」でした。
また、横浜市とのコラボレーションで、木のストローの「地産地消モデル」という、これまでにない試みが誕生しました。これは市が所有する水源林の間伐材を使い、市内の障がい者施設で木のストローを製造して、市内の商業施設で消費するというモデルです。
木のストローはこれまでいろいろな賞も受賞しました。
中でも「グッドデザイン賞」は2年連続受賞という快挙。加えて今年は、西口さん念願の「第29回地球環境大賞 農林水産大臣賞」(2020年)も受賞しました。
「この賞を受賞することで、これまで助けてくださった方々に、少しでも恩返しをできればと思っていました」と、西口さん。

社内での表彰式
西口さんは最近、開発の裏舞台をまとめた書籍『
木のストロー』を出版しました。その誕生秘話は、木のストローができるまでも、できてからもトラブルの連続で、さながらジェットコースターのような展開。
そして、問題に直面し、翻弄され、迷い、それでも前に進む西口さんの等身大の姿に、勇気と元気がわいてきます。また、木のストローに関わった社外の人々のコラムからは、木のストローが多くの人の熱い思いに支えられてきたことも伝わってきます。
西口さんは言います。
「私は一人では本当に何もできません。でも、たくさんの人とつながることで、これだけ大きなことができました。もし今、何かに迷っている人がいたら、私の体験が、一歩を踏み出すきっかけになればいいなと思っています」

【西口彩乃さん】
1989年、奈良県生まれ。立命館大学理工学部環境システム工学科卒業。2012年、木造注文住宅会社の株式会社アキュラホームに入社。営業職を経て、2014年より広報を担当。2018年から「
木のストロー」の開発に携わり、2019年1月、ザ・キャピトルホテル東急に木のストローが導入された。2019年に開催されたG20のすべての会合で木のストローが採用され、その後も様々な広がりを見せている。
<文/女子SPA!編集部>