そして社会人になった今、コミュニケ―ションの難度も相当上がりました。
「合コンのときもそうですが、とくに難しいのは女性からの一言です。容姿を褒められたとき、『そんなことないですよ』『〇〇さんの方がお綺麗ですよ』なんて謙遜(けんそん)しようものなら、『わざとらしい』『謙遜がかえって自慢に聞こえる』と陰口を言われる。
じゃあ反対に、『ありがとうございます』『嬉しいです』と答えると、『自意識過剰』『いい女ぶって痛い』と言われて。八方ふさがりというか、もうどないせいっちゅうねん! という感じで笑えてきました」

元々内向的、しかも成長するにつれて上辺しか見てもらえないことで自己肯定感が低くなっていった峰山さん。もちろん性格など個人差はありますが、“美人だからこその悩み”も相当抱え込んでいたそうです。
しかし彼女も好き勝手言われ放題ではありません。
ある日、その“プッツーン”は突然やってきました。
「謙遜もだめ、認めてお礼を言うのもダメ。とにかく社会人になってから一番モテるのは『浮かず、目立たず、無難な人』、そして、そこそこ整っている人なんですって。いかにみんなに紛(まぎ)れられて、そこそこのスペックを維持できるかが大事だよって言われたんです。例の合コンで私をダシにする、エセ気遣いの女A子から。
その瞬間、気が付いたらはっきりと『いや、知らんがな(笑)』と言い放っていました。なんかもう人の目を気にしたり、『みんな私の表面しか見てくれないんだ』と一人で落ち込むのもバカバカしくって」

するとA子が、「本性でた(笑)。どうせ私よりもかわいいと思って……」と言ってきたので、それにかぶせるように「そうだよ。だって現にあたしの方が整ってるじゃん」「どっちが上とか興味ないけど、あえてA子が比べるなら断然あたしの方が上だと思う」と、本音が止まらずだだ漏れ状態になったというまりかさん。
「今までうっぷんが相当溜まっていたんでしょうね。周りでア然とする同僚たちに、『ねえ!? そうだよね!』と思わず声をかけたら、みんな一斉に頷いてくれたんです(笑)。勢いで巻き込んでしまって反省しましたが、初めて言い返せて、スカッとした瞬間でした」
それからは、「言いたいことはハッキリ言う美人キャラ」になったとか。
出る杭は打たれても、“出過ぎた杭は誰も打てない”のです。
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私のコンプレックス―
<文・イラスト/赤山ひかる>
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奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。