ランチの約束当日、彼女は近くのお店で洋菓子を購入して持参。ところが、約束の店に入ると、真菜さんの隣には推定50代くらいの見知らぬ女性が……。
「こんにちは、笠原(仮名)です。今日、リカさんとお会いすると聞いたので、私も来ちゃいました。驚いたわよね、こんなおばちゃんが一緒じゃ」
「はあ……」
「体の具合はどう」「お子さんは元気?」「アレルギーは?」など、やつぎばやに健康状態について聞かれてビックリ。真菜さんに視線を向けると、にこやかに笑っています。
「すごい違和感でした。どうして真菜さんはこのオバサンを止めないのか。もしかしてパート先の“女帝”が付いて来ちゃったのかな?と思って、ヒヤヒヤしました。
するとどんどん薄気味悪い話になっていき、しまいには何年には地球が滅亡するだの言い出して……。その横で、何の疑いもない様子で真菜さんが笑っている。ホラーでした」

中年女性はにこやかに話し続けたそうです。
「そのうち、“○×様を信じた人だけが生き残る。今後、子どもがアレルギーを起こす可能性もある。それも○×様を信じれば大丈夫”……みたいなことを言い出して。なのに真菜さんは、何の違和感もなさげに笑っているんです。
それでやっと悟りました。私が疲れた顔をして大型商業施設で立っていたから『この人なら宗教に入りそう』と思って声を掛けてきたんだって。私の体を心配したとか、私と友だちになりたいと思ったとか、そういうのは全部無くて。ただ宗教の勧誘だけだったんだって。
そうしたらとても哀しくなっちゃいました。やっとママ友ができたと思ったのに、それが単なる勧誘だったなんて……」
同時に怒りもこみ上げてきました。
「真菜さんは恥ずかしくないんですか。私は本当にママ友だちができて、嬉しかった。嬉しくて、嬉しくて仕方がなかったから、ここにきたんです。あなたとご飯を食べるのを楽しみにしてたのに、単なる宗教の勧誘だなんて……。そういうことをして、あなたは恥ずかしくないんですか」
リカさんは一気に言って、思わず泣いてしまいました。
その後、母親から電話があったフリをして、その場から逃げてきたというリカさん。それ以来、ママ友がなかなかできずにいるそうです……。
―シリーズ「ご近所・ママ友とのトラブル」―
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<文/夏花くまこ イラスト/カツオ>