
離婚を見据えて「リコカツ」を開始したふたりは、自分のありのままの姿を見せるようになっていきます。また周りに「リコカツ中」だと言えずに共通の秘密を持ったことから、(皮肉にも)協力して危機を回避する展開になって、徐々に理解を深めていくのです。毎話の終わりのハグシーンはそれを物語っていました。
遭難して自衛隊員に救助されたことが恋愛のはじまりという設定や、紘一の部下たちのわちゃわちゃしたノリとか、咲に無理やり連れてこられたショップでいやいや試着したスーツが、凛々しい体躯にバッチリ似合って店員に褒められてしまうところとか、『リコカツ』はところどころ大ヒット韓国ドラマ『愛の不時着』をオマージュするようなシーンがあって楽しいのです。秘密が理解を深める要因になっている展開も、ちょっと『愛の不時着』を思わせます。
『愛の不時着』でセリとジョンヒョクが接近していったのは、「北朝鮮の軍人であるジョンヒョクが南(韓国)から来たセリをかくまっていること」がバレたらおたがい身の破滅だという危機感であり、序盤は、バレそうになる局面をなんとか脱してはおたがいの理解を深めていくという展開でした。
「リコカツ」中であることを隠しているからこそ、新婚旅行として老舗旅館に行ったり(紘一の家出した母を発見)、咲の母の誕生会を開かざるを得なかったことが、仲を深める要因になりました。
そしてついに、先週第4話では紘一が「離婚はやめよう。君が傷つく姿をもう見たくない」と咲を優しくハグ。ふたりはやり直すことを決意します。

紘一の母(宮崎美子)は紘一が結婚したら離婚しようと決めていました。
亭主関白で無愛想でちょっとしたことで怒鳴る父(酒向芳)。「あいつが外でうまくやれる訳がない。自明の理。いずれ戻ってくる」という発言も、妻を下に見てる感じがして嫌だなぁ。
紘一が父に言います。
「母さんは父さんの言うことをいつも優先していたから、だからずっと父さんのために自分を抑えて我慢してたんですよ。知ってました?母さん本当は甘い卵焼きが苦手だってことを」
「父さんは母さんのために自分を曲げて我慢したことがあるんですか。夫婦でいつも妻だけが我慢するなんておかしいですよ」
うんうん、分かる、つい我慢してしまう。私自身も結婚していた時は、なんでもないようなことに我慢し続けて、毎日毎日真綿で首を絞められるていくような感覚がありました。
しかし意外にも紘一の母の離婚理由は父に愛想を尽かしたからではありませんでした。
「お父さんのこと嫌いになったわけじゃないの。色々あったけどああ見えて本当は優しい人なのよ」と父を肯定。その上で、
「お父さんの妻であり紘一の母だった。ずっと妻でもなく母でもなく一人の人間としての居場所が欲しかった」と言います。
第4話ラストでは母が帰宅しました。父は態度を改めるのでしょうか。
『
リコカツ』
TBS 毎週金曜よる10時
脚本:泉澤陽子
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:井筒昭雄
演出:坪井敏雄 鈴木早苗 韓哲 小牧桜
プロデュース:植田博樹 吉藤芽衣
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、松永天馬、武田玲奈、中山麻聖、松川星、菅原卓磨、池田大、吉田涼哉、柴田勇貴、夏野琴子、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎、平田満