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V系バンド好きの私が「ルッキズム問題」にモヤモヤしてしまう理由

私がルッキズム問題にモヤモヤする理由

バンドマン

※イメージです(以下、同じ)

 これらのルッキズム問題に対して、私の中でモヤモヤが消えない。私自身、美に対する意識がおそらく世間一般の人々と違う。  前述したように、私はヴィジュアル系バンドが好きだ。V系は音楽性だけでなく見た目も重要視される。それゆえ、この界隈に身を置いていると美的感覚が世間とズレていく。先日Psycho le Cemu のドラマー・YURAサマにインタビューする機会があったが、彼のキャッチコピーの一つは「顔が良いだけで業界に20年君臨!」である。とにかく顔・容姿が大事なのだ。  美容整形手術をするV系バンドマンも多い。公表はしていないが、昔と顔が違うのでおそらく整形したであろうと噂されているバンドマンはいるし、2019年には己龍というバンドのボーカル・黒崎眞弥氏が韓国に鼻の整形手術を受けに行ったドキュメンタリー動画をYouTubeで公開した。  黒崎氏は過去、日本で鼻の整形手術を受けていたことも告白。しかし、仕上がりに満足がいかず、顔のコンプレックスがパフォーマンスにまで影響を及ぼすようになったため、腕の良い医師がいる韓国での手術を決意したという。  術後数日は顔がパンパンに腫れ上がり、鼻に詰め物をしているせいで口呼吸しかできないため鼻声で、その映像はかなり痛々しかった。そして、鼻を固定する器具をつけているため、しばらく自分で頭を洗えず、毎日美容室に洗髪しに行っているというエピソードも明かした。

それでも可愛いが正義

 このように、異常なほど美にこだわるV系バンドマン。そして、バンギャル(V系バンドの女性ファン)自身の美の感覚もまた、世間とは少しズレている。  バンギャルの容姿の流行も移り変わっていくが、私がバリバリバンギャル活動をやっていた10年ほど前のバンギャルには、ジーザスディアマンテという姫系のブランドを着た通称「マンテギャ」や、黒髪前髪ぱっつん姫カット、または黒髪おかっぱでセーラー服のサブカルっぽい女子(手首にリストカットの跡があったりする)が多かった。  服装はフリルやレースのついた少しロリイタっぽい感じ。ジーザスディアマンテはとてもじゃないが高くて買えなかったので(ワンピースが1着7万円もする)、私は中途半端なロリイタっぽい格好をしていた。本当はage嬢風のメイクもしたかったが、元々はっきりした顔立ちのため、当時流行していたつけまつげ3枚重ねなんかするとドラァグクイーンのようになってしまい、つけまは1枚で自重していた。  バンドマンも、そんな格好をしているバンギャルを好むのだ。狭い世界の中で需要と供給が成り立っている。バンギャルは可愛ければ可愛いほど、痩せていれば痩せているほど良しとされる。また、可愛い子ほどバンドマンからも狙われやすいため、他のバンギャルから嫉妬の対象となり、あることないこと、誹謗中傷をネット上の掲示板に書き込まれて心を病んでしまう。それでも可愛いが正義。
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社会に出て気づいた“美的感覚のズレ”
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