しばらく吉岡部長と2人で話をしていた蓮さんでしたが、細野さんを囲み楽しそうな女子たちの輪に加わりたくなり、撮影会に飛び込みました。 　しかし既に出来上がった包囲網は固く同期の真里さん（仮名）に自撮り棒を貸してとお願いしても、ニヤリとされるだけで蓮さんの手に渡ってくることはありません。 「そこまで写真を撮りたいわけではなかったのに、貸してもらえないことで闘争心に火が着いてしまって、絶対に細野くんと写真を撮ってやる！という気持ちになってしまいました。まずは細野くんを確保してトイレに立った部長の席に無理やり座らせて、自撮り棒を奪還することに全力で挑みました」 　冷静に考えれば自撮り棒などなくても写真を撮ることはできますが、このときの蓮さんは酔い＆負けず嫌いを発揮してそんなことを考える余裕がなかったのです。女子たちと「貸してよ！」「やだよー！」という押し問答が続き、ついにその手がしっかりと自撮り棒を捉えました。 「よし！と思って引っ張ったら暑さと興奮のせいで湿っていた手から、自撮り棒がスルッと抜け落ちそうになったんです。慌ててしゃがんで掴んだら地面スレスレでキャッチすることができました。それが妙に嬉しくて、しゃがんだまま自撮り棒を握った手を上げてガッツポーズしようと思ったんです。そしたらその手が何か柔らかいものにぶつかった感触があって…」