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鈴木保奈美が離婚前に書いていた「私の人生を取り戻す」という意思

著書に見る「自分自身の人生」への意識

 昨年末に上梓したエッセイ『獅子座、A型、丙午。』(中央公論新社)を読むと、彼女が家庭での暮らしをとても楽しんでいることが伝わってくるのだが、一方で「自分自身の人生」についても常に意識を向けていることがわかる。
鈴木保奈美『獅子座、A型、丙午。』中央公論新社

鈴木保奈美『獅子座、A型、丙午。』中央公論新社

 長女を妊娠したとき、彼女は「これから先、私の人生はお母さんとしての人生なのだと思った」と彼女は書いている。ところが娘が小学校に上がったとき、あれ、と気づいたという。 「子どもって、意外と早く大きくなる。こちらが親としてちゃんとやれているかいないかにかかわらず、どんどん成長する。この分だとあと数年で、いなくなるのではないか? そのあと、『お母さんだけ』じゃない、『私』の人生が戻ってくるのではないか? しかも健康であれば、案外そのあとの人生が長いんじゃないか?」(『獅子座、A型、丙午。』中央公論新社より 以下カギカッコ内は同じ)  だからこそ、彼女は本格的に仕事復帰したのだろう。自分自身を取り戻すために。

彼女は論理的で冷静な女性なのだ。しかも潔い

 ちなみにこのエッセイの中では、ニュースで観たシングルマザーの女性市議会議員が苦労して子どもの卒業式に出席した話なども取り上げている。「働く女性の子育てとの両立」を綴(つづ)りながら、なぜ子どもに関することは女親だけの担当なのか、彼女が他の男性議員に相談できなかったのはなぜなのか、シングルファーザーであっても両親がいる家庭であっても子どもの卒業式に出席できるような働き方のほうが自然ではないのか等々、問題意識は続く。
 さらに子どもたちが犬を飼いたいと言い続けていたときの鈴木の対応が興味深い。 「もはやママは絶対ダメとは言いません。ただし条件があります。犬を飼うにあたってどんな手段があり、どんな手間とお金がかかり、どこまで自分たちでできてどこからママの手を借りるのか、それだけの労力を費やしても犬を飼うことのメリットがどれだけあるのか、きちんとプレゼンをして私が納得したらゴーサインを出しましょう」  そう宣言したそうだ。友人には「いや~、ホナミらしいねえ、面倒な母を持って子どもたち大変だねえ」と言われたと記している。彼女は子どもたちの「創意工夫と熱意が大事」だとしているのだが、ここに彼女の論理性と冷静さが見てとれる。  そう、彼女は論理的で冷静な女性なのだ。しかも潔い。そんな彼女からみて、今の結婚生活を続けることに意味を見いだせなかったのではないだろうか。

ひとりでスクッと立っていた「赤名リカ」の姿が重なって見える

 夫は地上波テレビから駆逐されたが、Youtubeでよみがえっている。そのことも安心して「縁を切る」要素となったのかもしれない。  いつもひとりでスクッと立っていた「赤名リカ」の姿が、今、鈴木保奈美に重なって見える。人はいつでも自由なのだとリカ(=鈴木)が言いそうである。 「家庭」の形は、夫婦の生活様式や子どもの成長によって、本来、変わっていくのが当然だともいえる。たとえ夫婦が別れても、親子の縁が切れるわけではないし、元夫婦が友人のような関係を築くことも可能だ。今回、鈴木はビジネスパートナーとしての道を選択したが、これも永久に続く関係ではないかもしれない。  子どもたちが小学校に入って、いつかは巣立っていくのだなと感じたところから、彼女の離婚への準備は始まっていたのではないだろうか。 【他の記事を読む】⇒シリーズ「亀山早苗の不倫時評」の一覧はこちらへどうぞ <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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