痩せてるのに肥満「スキニーファット」に要注意。たんぱく質をこまめに摂ることから始めよう
痩せて見えるのに、じつは“肥満”――現代型肥満とも言われ、最近話題になっている「スキニーファット」をご存知でしょうか?
“ほっそりしている”という意味の「スキニー」と、“脂肪が多い”という意味の「ファット」を合わせた言葉なんです。
立命館大学スポーツ健康科学部教授の藤田聡先生によると、スキニーファットとは「BMI*が18.5~25未満(やせ型~普通体重)にもかかわらず、筋肉の量が少なく脂肪が多い状態」のこと。「主な原因は、栄養と運動の不足だと考えられています」(藤田先生)
スキニーファットは、食事制限によるダイエットやコロナ下の運動不足により、女性たちの間で増えていると言われています。じつは筆者もそのひとり。健康上の問題にもつながってしまうスキニーファットについて、藤田先生に詳しく話を聞きました。
*BMI:肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められる。日本肥満学会の基準では18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」とされる。
藤田先生によると、スキニーファットの人はパッと見は痩せているので見た目では判断しにくく、自分自身でも気づいていないケースが多いのだとか。
「いくらBMIが18.5~25未満でも、体脂肪率が25%以上だったらスキニーファットの疑いあり。やせて見えるのに二の腕がたるんでいたり、お腹がぽっこりと出ていたりするのも要注意です」(藤田先生)
あなたは大丈夫でしょうか? まずは以下のチェックシートを試してみてください。
いかがでしたか? 心配な結果になってしまった人は、スキニーファットの解消や予防のために、食生活や生活習慣を見直したほうがいいでしょう。
なぜなら、筋肉量が少ないままでいることは、さまざまな不調の原因になるのです。
「筋肉量が少ないと代謝が落ちてしまうので、冷えやすい、疲れやすいといった問題が起きがちになり、免疫力も低下します。将来的には生活習慣病のリスクも上がってしまう。しかも、筋肉量が少なく代謝が落ちていると太りやすく痩せにくいカラダになるので、ますます二の腕やお腹にお肉がつくようになってしまいます」(藤田先生)
実は、筆者の2019年~2021年の検診結果を見ると、BMIは21~22で標準体重ですが、体脂肪率は25.9%→28.6%→29.9%と爆上がり……! コロナ下での運動不足や、手抜きの自炊がたたって、立派なスキニーファットになり果てています。
たしかに体調がすぐれないことが多いし、二の腕やお腹のぷよぷよ具合も加速する一方。この辺でなんとかしないと本格的にマズい!
そもそもスキニーファットの人は、筋肉の材料であるたんぱく質の摂取が足りていない可能性があると藤田先生は指摘します。
「1回の食事で必要なたんぱく質は、運動習慣のない人で体重1kgあたり0.4g。体重50kgなら1食20g以上、1日で60g以上必要になります」(藤田先生)
しかし、20~30代女性の1日あたりのたんぱく質摂取量は40~50代女性より少ないというデータもあり、慢性的な不足が心配されます。
そう言われると、筆者も朝はコーヒーだけ、昼食はおにぎりやサンドイッチで済ませ、肉や魚を食べるのはほぼ夜だけ。朝+昼でたんぱく質10gほどで、全然足りてません……。同じようなパターンの人は少なくないのでは?
とはいえ、いきなりたんぱく質量を増やした食生活にガラリと変えるのは難しいですよね。でも大丈夫!昨年、早稲田大学スポーツ科学学術院教授・宮地元彦先生が行った大規模調査により、少量のたんぱく質を1日の食事にプラスするだけで、筋肉量の増加につながることが分かったそうなのです。
研究結果によると、一日に体重1kgあたり0.1gのたんぱく質をプラスするだけで、筋肉量が右肩上がりで増加。しかもこれは、運動の影響を反映させていない(運動の有無にかかわらず)、たんぱく質摂取だけによる効果で、もともと筋肉が少ない人ほど効果が出やすいことも分かりました。たんぱく質のパワー、驚きですよね。
現在、日本人のたんぱく質摂取量は厚生労働省が出している食事摂取基準における、「推奨量」(栄養不足にならないために最低限必要な摂取量)は満たしているのですが、同じく提示されている「目標量」(生活習慣病の予防のために現代日本人が目標とするべき量)を満たしていないのです。20歳以上の場合、1日あたり男性で10~13g、女性で2~7g程度目標値の下限値を下回っているのが現状だそう。
筋肉量の増加には運動も大切ですが、運動をする時間がなかなか取れない人は、まずはたんぱく質を1日+10g摂ることを目標にしてみてはいかがでしょうか。
では、たんぱく質を10g摂るには、何をどれだけ食べればいいのでしょうか。食事で肉や魚などの主菜を増やすのは料理が面倒ですし、食べるのも大変な気がしますが、前出★の研究を行った宮地先生はこう言います。
「たんぱく質を手軽に摂るには乳製品がおすすめです。牛乳やヨーグルトやチーズに含まれる乳たんぱくは、必須アミノ酸9種類をバランスよく含み、なかでも筋肉を作るのに欠かせないBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類)を豊富に含んでいます。効率的にBCAAが摂れるという点でも、乳製品はすぐれものです。最近はたんぱく質を強化した食品もあるので、+10gは決して大変ではないと思います」(宮地先生)
牛乳やヨーグルトやチーズに含まれる乳たんぱくは、必須アミノ酸9種類をバランスよく含み、なかでも筋肉を作るのに欠かせないBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類)を豊富に含んでいるとか。効率的にBCAAが摂れるという点でも、乳製品はすぐれものです。
――――――――ー
<たんぱく質を手軽に摂れる食品の例>
・牛乳 200mlで6.6g
・ヨーグルト 100gで4g(10g前後の高たんぱくヨーグルトも)
・卵1個(50g) 6.3g
・納豆1パック(50g)で8.5g
――――――――ー
最近はコンビニやスーパーにもたんぱく質を強化したお菓子などがたくさん置かれるようになったので、お腹が空いたら間食にそれらをつまむのもいいですね。
たんぱく質は、3食均等に摂るのが理想的だそうです。
筆者のように、「夜にドカンと食べて1日の帳尻を合わせる」のはNG。なぜなら、たんぱく質は一度に体内に貯蔵できる量が限られていて、余った分は脂肪として貯蔵されるか尿として排泄されてしまうそうなんです。
毎回の食事にちょっとプラスしたり、間食としてこまめに摂ったりするのが、カラダ的にも取り入れやすさ的にもベストなのです。
美容にも健康にも欠かせないたんぱく質。こまめに摂るだけでも筋肉量が増やせるとは、スキニーファットな筆者には驚きでした。
ですが、美容意識の高い人はすでにたんぱく質を意識した生活を送っているよう。一般社団法人 日本パーソナル管理栄養士協会が20歳~49歳女性700人を対象に実施した「女性の健康美と食生活」に関する調査によると、「キレイなカラダづくりのために効果的だと思う食事方法」という質問に対しての回答が、美容系職業においては「たんぱく質を積極的にとる」が急拡大で1位だったのです。多くの人が、ボディメイクなどへの効果を実感しているんでしょうね。
一方で、糖質制限のような食事制限の支持率は下降気味。「ただ痩せていればいい」から「健康的で美しいカラダづくりが大事」へと価値観が変わり、ダイエットの常識が変化しているのかもしれません。
みなさんも、「何かを抜く」のではなく「たんぱく質をプラスする」という新しいアプローチで、健康美を目指しましょう!
<文/女子SPA!編集部>
筋肉が少なく脂肪が多い
もしやあなたもスキニーファットかも!?
いかがでしたか? 心配な結果になってしまった人は、スキニーファットの解消や予防のために、食生活や生活習慣を見直したほうがいいでしょう。
なぜなら、筋肉量が少ないままでいることは、さまざまな不調の原因になるのです。
将来的に生活習慣病のリスクも
体重50kgなら、1食20g以上のたんぱく質が必要
そう言われると、筆者も朝はコーヒーだけ、昼食はおにぎりやサンドイッチで済ませ、肉や魚を食べるのはほぼ夜だけ。朝+昼でたんぱく質10gほどで、全然足りてません……。同じようなパターンの人は少なくないのでは?
摂るたんぱく質を少し増やすだけで、筋肉は増える

出典:Dose–response relationship between protein intake and muscle mass increase: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials(たんぱく質摂取量と筋肉量増加との用量反応関係:無作為化対照試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシス)
まずは1日「+10g」から始めては
何を食べればたんぱく質を増やせる?
――――――――ー
<たんぱく質を手軽に摂れる食品の例>
・牛乳 200mlで6.6g
・ヨーグルト 100gで4g(10g前後の高たんぱくヨーグルトも)
・卵1個(50g) 6.3g
・納豆1パック(50g)で8.5g
――――――――ー
最近はコンビニやスーパーにもたんぱく質を強化したお菓子などがたくさん置かれるようになったので、お腹が空いたら間食にそれらをつまむのもいいですね。






