母親はお風呂に案内すると言って玄関に向かいました。静佳さんは不思議に思いながらも付いていきました。
写真はイメージです。(以下同じ)
年末の帯広の夜の気温はとても下がります。凍えながら母親の後ろをついていきますが、通路は薄暗く昼間に取り損ねた牛糞が点在し、うっかり踏んでしまったそうです。苦労して辿り着いたお風呂は、なんと父親手作りの木製の風呂だったのです。
「なんでも彼のお父さんが大の風呂好きでいちから自分で作ったそうなんです。
ほったて小屋みたいになっていて一応屋内なんですけど、外の風がびゅーびゅー入ってきて、とてもじゃないけれど、ゆっくりくつろぐなんてことできません」
身体をささっと洗い流して凍えて震えが止まらない身体を抑えながら、湯船に浸かりました。
温かい風呂に浸かってようやく生きた心地を取り戻した静佳さん。しかし、彼女に降りかかる災難はこれで終わりませんでした。
湯船の中で家畜の鳴き声に耳を澄ませていると、何やら足音が聞こえてきました。酔いが醒めた彼氏が様子を見に来てくれたのかと思って、彼氏の名前を呼んでみましたが、反応はありません。
「脱衣所でガサゴソ音がしていて何をしているんだろうって不審に思いました」
ガラガラと扉が開き、そこに現れたのは彼氏の父親。しかも、全裸でした。しばらく二人で見つめ合う時間があり、
「
す、すまん!!! 静佳さん!」
そう言ってピシャリと扉が閉まりました。